2022 Fiscal Year Research-status Report
Intersectionality of ethnicity, gender and mental health
Project/Area Number |
21K03097
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
鈴木 華子 立命館大学, 総合心理学部, 准教授 (00634627)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
Rogers Lisa 同志社女子大学, 現代社会学部, 准教授 (40580692)
WILLIAMS Elisabeth.Ann 神戸女子大学, 文学部, 専任講師 (90897977)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | ウェルビーイング / 心の健康 / 多様性 / アイデンティティ / 社会的属性 / 日本国外にルーツを持つ人 |
Outline of Annual Research Achievements |
「心の健康(mental health)なしに、健康(health)は語れない」と言われるほど、近年では心の健康やウェルビーイングの重要性が認識されるようになってきたが、多様なアイデンティティとウェルビーイングの関係は検討されていない。そこで今年度は、多様なアイデンティティとウェルビーイングについての検討を行った。 一つ目は、日本における多様なルーツを持つ人々とそのアイデンティティに関わるものである。多くのマイノリティが差別に直面していたり、「外国人」に対するステレオタイプを経験したりする一方で、多様なアイデンティティを誇りの源泉とする人々もいることが明らかとなった。また、ジェンダー研究の中で「男性性研究」が持つ位置づけに注目してみると、男性性のヘゲモニー的な見方を探ることがジェンダー関係だけでなく、他の様々なアイデンティティーとの交差性にも関わることが明らかとなった。 二つ目は、外国人支援に関するものである。高等教育機関においては、教育機関の企業化等がグローバル人材の育成に影響を及ぼしており、さらには、外国人留学生や外国人教員へのサポートの少なさがストレスや不満につながっていることが明らかとなった。また、若年層では今まで出会ったことのない人やメディアで見たことがない人との交流を想像した際に気まずさを感じることがわかり、外国人が排除を感じていることとのつながりが見えてきた。 三つ目は、ウェルビーイングに関するものである。ウェルビーイングは広い意味を持つ概念で、文化的文脈によっても捉えられ方が異なり、幸福感や満足感といったポジティブな捉え方をされることもあれば、調和が取れているや安心しているといった中立的な捉え方をされることもあることが明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
使用しようとしていた質問紙の日本語版に著作権があることが判明し、質問紙の変更を迫られた。研究協力者が日本国外にルーツを持つ人たちであるため、日本語版と英語版があり、同時に使用できる(質問紙上に併記できる)質問紙でなくてはいけないため、その特定に時間を要した。現時点では、倫理書類の変更申請も終了し、順調にデータ収集が進んでいる状況である。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、日本国外にルーツを持つ人を対象として、アイデンティティと日常生活で起こる不当な扱いとウェルビーイングの関係について量的および質的に検討する。現在、アンケート調査とインタビュー調査を行なっており、データが蓄積されつつあるため、それらの分析を進め成果の発表につなげていく予定である。
|
Causes of Carryover |
使用しようとしていた質問紙の日本語版に著作権があることが判明し、質問紙の変更を迫られたため、新たに使用する質問紙の特定に時間を要したため、謝金の支出が行われなかったため次年度使用額が生じた。現時点では、順調にデータ収集が進んでいる状況であり、研究協力者への謝金として使用する予定である。また、上記理由により、成果発表が一年遅れたが、次年度に発表を行う予定であり、旅費や参加費として使用する予定である。
|