2022 Fiscal Year Research-status Report
不眠症状からプレゼンティーズムを高精度で予測するスクリーニング基準の開発
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21K03101
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Research Institution | Fukuyama University |
Principal Investigator |
高野 裕太 福山大学, 人間文化学部, 助手 (80847814)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 不眠 / プレゼンティーズム / 認知行動療法 / 生産性 / 睡眠負債 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,研究の推進だけではなく,研究成果の公表を行った。 第一に,2021年度の研究実績として報告した研究成果を国際誌に公開した(Takano et al: BioPsychoSocial Medicine, 2022; 16, 13)。学術論文として公表した内容は,不眠症状は睡眠負債およびソーシャルジェットラグ(社会的な時間と個人の体内時計のズレ)と比較して生産性の低下(プレゼンティーズム)および心理的苦痛と関連していること,睡眠負債はソーシャルジェットラグと比較して生産性の低下および心理的苦痛と関連していること,ソーシャルジェットラグは生産性の低下および心理的苦痛との関連していないことであった。 第二に,不眠症状の重症度が高くなるごとに,生産性の低下とどのような関連があるのかを検討した。その結果,不眠症状の重症度が高くなるごとに生産性の低下が認められた。さらに,夜間の症状だけではなく,眠れないことに対する心理的な症状が強くなることで生産性の低下が生じやすい可能性が示唆された。この結果は国際誌に公開した(Takano et al: Journal of Sleep Research, 2023; 32, e13711)。 第三に,勤労者を対象とした不眠に対する認知行動療法の効果を整理することを目的としてシステマティックレビュー・メタアナリシスを実施した。日中勤務者を対象とした場合,不眠に対する認知行動療法は,不眠の重症度,入眠困難,中途覚醒,早朝覚醒の改善が認められることが明らかとなった。一方で,交代制勤務者を対象とした場合には,不眠に対する認知行動療法は不眠症状の改善が認められないことを明らかにした。この結果は国際誌に投稿しており,現在,審査中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
不眠症状の重症度の増加と生産性の低下の関係性において,夜間の症状だけではなく,眠れないことに対する心理的な症状が強くなることが明らかになったためである。さらに,心理的な症状の重要性は別解析でも再現できている。この結果は,当初の計画では3年目に達成する予定であったが,2年目で達成できたためである。
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Strategy for Future Research Activity |
得られた研究成果の公開を順次実施していく。また,追加データを収集しながら,スクリーニング基準の精度向上を目指して研究を推進していく。
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Causes of Carryover |
わずかに未使用額が出たが,未使用額は来年度の研究成果の公表のために使用する。
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Research Products
(4 results)