2021 Fiscal Year Research-status Report
The effect of the relapse prevention program for substance abuse in a probation office: Evaluation of the risk and the protective factors.
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21K03108
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
金子 周平 九州大学, 人間環境学研究院, 准教授 (10529431)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 保護観察所 / 薬物再乱用防止 / 保護要因 / リスク要因 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究が対象とする保護観察所の薬物再乱用防止プログラムは、Serigaya Methamphetamine Relapse Prevention Program(SMARPP)の応用プログラムである。その効果測定には、変化のステージと動機付けに関する尺度であるMiller et al.(1996)のSOCRATESが用いられる。 本研究も、段階的変化や動機づけにアプローチするこ とから、SOCRATES-8D(S-8D)を効果指標とする。しかし医療機関や精神保健福祉センターとは異なり、保護観察所ではプログラム参加を義務付けられた者を対象とするため、動機づけによるプログラム効果の評価の妥当性は不十分である。本研究では、より適応的な代替行動を獲得・実行についての判定も効果指標の一つに加えている。その評価は対象者のプログラム開始後1年の令和4年7月に開始する。現在は当初の研究計画によると分析のための基本的なデータ収集開始・蓄積の初期段階である。現時点では、コアプログラムの前後のS-8D得点を26名(平均年齢39.80歳、薬物使用平均年数[初使用時から現在]21.42年)から収集している。病識・迷い・実行の3つの因子得点による違いがみられるものの、全体としての有意差は確認できない。また、これらの効果指標に影響するリスク・保護要因についてもデータを蓄積している段階である。上記の年齢、薬物使用年数の他、帰住先の種類(家族25名、厚生保護施設13名、その他3)、就業(予定)(有29名、無11名)、性別(男性29名、女性17名)、IQ(平均85.74)、精神病歴(有18名、無23名)、主な使用薬物の種類(シンナー19名、覚醒剤25名、大麻9名、その他7名:重複あり)、ワ ークシートを用いた機能分析(分析中)、S-8Dの処遇開始時得点(分析中)と、基本統計量の算出を行なっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、1)対象者の社会的要因(帰住先、職業)、 個人的要因(性別、能力、病歴)、薬物自体の要因(使用歴、使用薬物の種類)等が、動機づけ向上に寄与する程度を明らかにすること、2)上記要因が、薬物使用行動の代替行動の獲得・実行に寄与する程度を明らかにすることであった。この2つの目的のためのデータ収集は開始されており、現時点ではプログラム対象者の59名の内48名から研究に対する同意を得ることができている。そのうち、約2ヶ月半から3ヶ月のコアプログラムの前後のS-8Dのデータを取得できたのは26名である。上記の各種の要因についてもデータは研究に同意した48名中40から46名分獲得することができている。データの蓄積は令和4年度にプログラムを開始する者のフォロアップまで行われ、分析に必要なデータ数は十分に確保できると考えられる。現時点では順調に研究のプロセスは進行している。 しかし研究目的の3)機能分析に関する補助課題を加えた事前学習を元に、その振り返りを行う反転学習を行なった個別処遇と、4)集団精神療法的なスタッフの関わりを評定した集団処遇の効果を確認し、それらの意義を考察する研究計画については、研究のプロセスを保留した状態にある。新型コロナウィルスの感染状況の変化による対象の保護観察所の処遇方法の変更が生じたためである。感染拡大時期に、対象者の事前学習を元に短時間の個別対応を行った処遇形態は現在は休止中であるため、集団処遇と個別処遇に分けた分析は、現時点では本研究の対象として該当しなくなっている。 本研究の主な目的であるS-8Dの得点変化と代替行動の獲得に関して、保護要因とリスク要因について算出することに必要なデータ蓄積は順調であり、代替行動の獲得の調査も対象者のプログラム受講から1年後の令和4年7月以降の開始に向けて準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では薬物再乱用防止の動機づけを測定するS-8Dを効果指標として用いるのに加え、薬物使用行動に代わる適応的な代替行動を獲得・実行もしくは持続的な環境の変化についての判定を効果指標の一つに加えている。保護観察所のプログラム参加者は、本処遇に義務的に参加しており、変化への動機づけが精神科病院のプログラム参加者などと比べて高くないことが予想されるためである。プログラム開始後のS-8Dと代替行動や環境の変化のその評価は、対象者のプログラム開始後1年の令和4年7月に開始する。 具体的には、本研究の対象者が保護観察所に来所する日が、プログラム開始以降1年以降のもっとも近い日程にS-8Dを渡し、実施する。またプログラムの前後に10分から20分程度のアセスメント面接を行い、代替行動の獲得(具体性・アクセシビリティ・薬物による強化との類同性の3点)、環境の変化(持続可能性・変化への主体的働きかけ)の評価を行う。評価は保護観察所に常駐するスタッフの協力を経て、プログラムのファシリテーター兼アドバイザーが実施する。結果は代替行動もしくは環境の変化の有無(1か0)で評価され、主な分析方法はロジスティック回帰分析による。 令和4年度は、2ヶ月半から3ヶ月のコアプログラムの前後のS-8Dのデータを取得の継続と、上記の1年後のデータ取得を一定の手続きに基づいて継続することが目標である。
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Research Products
(6 results)