2021 Fiscal Year Research-status Report
生体センサーを導入したIT版レジリエンス増進プログラムの策定
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21K03112
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Research Institution | Tokyo University of Social Welfare |
Principal Investigator |
齋藤 瞳 東京福祉大学, 心理学部, 准教授 (40551817)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 穣 関西医科大学, 医学部, 教授 (60298859)
佐藤 豪 同志社大学, 心理学部, 教授 (90150557) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | メンタルヘルス / ストレス / レジリエンス / 生体センサー / 認知 / 動機 / IT / 自我状態 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本では,ストレスチェックが義務化される等,ストレス性疾患への対応策は急務となっている.また国際的にも,心の健康への意識は加速的に高まりを見せ,近年,スマートフォンのアプリケーションやSMSメッセージ等,モバイルを駆使したプログラム(mHealth)が多く研究され,その効果が認められつつある. しかし,行動変容を促すためには個々人の動機を把握し,その程度に応じた介入が必要となる.心の健康に関しても同様であり,ストレスに気づき,ストレスをコントロールする術を身につけ得るか否か,ストレス性疾患の予防への意識を高め得るか否か,行動や意識を変えるためには個々人の動機の程度に応じた介入が必要となる.そこで,本研究では,動機づけがない人であっても,自分自身の特性,気持ち,状態に気づきを得ながら,個々人に応じた自動送信コメントを受け取り,心の健康に対する意識を高めていくことが可能なオーダーメイド型プログラムの策定を目指す. R3年度には,これまで研究を行ってきた心身健康増進プログラムの成果を本研究に活かすべく,プログラムの効果に関して再検証を行った.そして,その成果を踏まえ,本研究のプログラムである「生体センサーを導入したレジリエンス増進プログラム」の策定を行った.具体的には,自我状態をはじめ交流分析の理論と認知行動療法等の心理的知見と生体センサー等情報技術を効果的に組み合わせ,レジリエンスを高め得るロジックの検討を行った.生体センサー利用に関しては,スマートフォンや生体センサーを導入し,睡眠,心拍等の生理指標を日常生活の中で瞬時に記録していく心身医学的介入Ecological Momentary Intervention(以下,EMI)の効果的な導入について検討を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では,個々人のパーソナリティに応じたオーダーメイド型プログラムの策定を目指すが,心理指標として導入予定である,「自我状態」,「ストレス」「レジリエンス」,「認知」,「生活習慣」を,研究協力者の負担を最小限に,如何に効果的に把握するか検討することに時間を要している.また,その心理指標の結果に基づいた,個々人に応じたロジックの構築にも時間を要しており,当初の計画と比較し,やや遅れている状況である. 当初の予定では,R3年度中に,研究協力者のスクリーニング,及びプログラムのアプリケーションへの導入依頼を行う予定であったが,未達成の状況であり,R4年度前期には,達成できるようプログラムの策定を早急に進めていく予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
R4年度には,策定を終えたプログラムを大学生に施行し,無作為割付により,生体センサーを導入したレジリエンス増進プログラムを施行した群(実験群)と統制群で,比較検証を行う.プログラムの施行は3ヶ月間とし,3ヶ月目以降3年間は逆戻り・継続性の検証のためフォローアップを行う. R5年度以降は,R4年度に得られた成果に基づき,プロトコルの改定を行い,より効果の高いプログラムの策定を目指す.そして,R5年には,企業に勤める社会人にも対象を広げ,より幅広い層に効果的なレジリエンス増進プログラムの策定を目指す.
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Causes of Carryover |
R3年度はプログラムの策定を中心に行い,当初予定していたプログラムのアプリケーション化の費用など,繰り越し費用が生じた.そのため,R4年度は,プログラムのアプリケーション化にかかる費用に加え,当初予定していたプログラム実施にかかる費用が必要経費となる.主に,研究協力者が装着する生体センサーの費用,プログラム管理にかかる費用,プログラム施行に伴い,多大なデータの収集,処理,解析を行うため,整理など研究補助への謝礼が必要となる予定である.また,国内外での研究打ち合わせ旅費や会議費は,引き続き必要経費と考える. さらに,研究における情報収集の一環としての書籍購入,記録媒体等の周辺機器,サーバー関連消耗品は不可欠である.また,研究を推進していくために継続して研究成果を発信することも重要と考えられ,それに伴う学会における発表旅費,外国論文校閲等の機関誌への掲載に関わる費用も必要となる.
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