2021 Fiscal Year Research-status Report
自画撮り被害における児童の送信行動に影響を与える要因と被害予防教育の指標の検討
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21K03118
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Research Institution | Otemon Gakuin University |
Principal Investigator |
櫻井 鼓 追手門学院大学, 心理学部, 准教授 (70846295)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | トラウマ / 性被害 / SNS / 自画撮り |
Outline of Annual Research Achievements |
近年では、インターネットを介した犯罪被害が社会の耳目を集め、SNSに起因する児童の性被害が増加していることが問題となっている。中でも、わが国ではここ数年、児童が脅かされて、自分が写した自身の裸体等の画像(以下、「自画撮り画像」)をメール等で送らされる形の児童ポルノ被害である「自画撮り被害」が急増していることが問題視されている。 そこで2021年度は、18歳未満の時期における自画撮り画像送信・掲載行動の実態について、オンライン調査会社に委託したウェブ調査を実施した。20歳から25歳までの男女18,564人のデータを収集し、送信・掲載行動の経験割合を明らかにした。そのうち、さらなる調査の協力が得られた1,030人から、衝動性等の自身に関連する要因及び学校・家庭・交友の関係性に基づく要因のデータを収集した。今後、自画撮り画像送信・掲載行動を予測する要因を分析する予定である。 自画撮り画像送信・掲載に関する研究成果のほとんどは海外の研究から得られたものであり、わが国では、自画撮り画像送信・掲載行動に関する研究はわずかである上、男子の送信・掲載行動については皆無であった。男子を含む自画撮り画像送信・掲載行動の実態を明らかにした本研究の学術的意義は大きい。自画撮り画像送信・掲載を行うことが、グルーミング(青少年と性的接触をするようオンラインでやりとりするプロセス)被害に遭いやすくなることが指摘されており、被害防止の観点からも送信・掲載行動に関連する要因を分析する社会的意義は大きい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究全体としては3年間をかけることにしている。当初計画として、初年度は一般成人を対象にオンライン調査を実施し、18歳未満時の自画撮り画像送信・掲載行動経験の割合を明らかにするとともに、当該行動の予測要因を分析するためのデータを収集することを予定していた。概ね計画通りに研究が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、これまでに収集されたデータの分析を進め、自画撮り画像送信・掲載行動の予測要因を明らかにする。分析された結果をもとに学会発表及び学術論文投稿を行い、知見を公開するとともに、得られた研究者からの意見を今後の研究に反映させる。 また今後は、教員を対象とした調査を実施し、結果を活用した広報啓発資料を作成し、配付する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため研究の打ち合わせはメールが主であり旅費がかからなかったこと、オンライン調査が当初の予定よりも安価であったことが理由である。2022年度以降に、学会発表・学術論文投稿、調査、広報資料作成を予定しているため、これらに使用する。
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Remarks |
・兵庫県警察本部主催少年健全育成研究会「性犯罪被害の子供の心理と支援」(2022年2月)にて研究成果の一部を発表 ・門真市主催 人権講座 ともに生きる「犯罪被害者支援について」(2022年3月)にて研究成果の一部を発表
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Research Products
(1 results)