2023 Fiscal Year Annual Research Report
サイコパスなどのダークなパーソナリティ要因が隠匿情報検査に及ぼす影響
Project/Area Number |
21K03120
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Research Institution | Fukuyama University |
Principal Investigator |
平 伸二 福山大学, 人間文化学部, 教授 (30330731)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 隠匿情報検査 / サイコパス / Dark Triad / 事象関連電位 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は実験4を実施した。実験4は模擬窃盗課題後のCITで心理的及び身体的妨害工作(countermeasures: CM)を実行させ,DTの3つのパーソナリティを高群と低群に分けて分析した。具体的には,実験参加者に模擬窃盗課題を行ってもらった後,3刺激オッドボール課題によるCITをCMのない統制条件,心理的CM条件,身体的CM条件で実施し,標的刺激,裁決刺激,非裁決刺激に対するP300振幅を,3つのパーソナリティを高群と低群に分けて比較検討した。 仮説としては,2022年度実施の実験3(白尾ら,2023)による標準オッドボール課題での実験結果と同様に,DTによる影響は認められないと予想した。 実験参加者は,模擬窃盗課題遂行後,盗んだ品物を脳波測定によるシステムで検出されないように隠匿するように求められた。DTは日本語版Short Dark Triadを用い,サイコパシー傾向,マキャベリアニズム,自己愛傾向の下位尺度別に得点化した。DTのサイコパシー傾向のP300振幅に関して,群要因(高・低)×CM要因(統制・心理的・身体的)×刺激要因(標的・裁決・非裁決)による3要因分散分析を行なった。その結果,刺激要因のみ主効果が認められ(F(2,32) = 53.776, p = .000, 偏η2 = .771),他の要因の主効果及びすべての交互作用に有意差は認められなかった。なお,マキャベリアニズム,自己愛傾向についても同様の結果になった。 実験1-4の結果からDTの高群と低群の主効果及び交互作用は認められず,Kiehl et al.(1999, 2006)の研究は支持されず,DTの各パーソナリティ要因はCITに影響を及ぼさないことが明確となった。
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