2021 Fiscal Year Research-status Report
顔印象とそのメタ認知の正確性/偏りの個人差に関する実験心理学的検討
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21K03124
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 敦命 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 准教授 (80547498)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 顔 / 印象 / 特性推論 / メタ認知 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、次の2つのリサーチ・クエスチョン(RQ)を設け、心理学実験を通じてその答えを探求することを目指している。1つ目のRQは、「顔印象は正確だというメタ認知を持つ人の顔印象は実際に正確なのか、或いは、偏りを持つのか。」である(RQ1)。2つ目のRQは、「顔印象とそのメタ認知の正確性/偏りの個人差はなぜ生まれるのか。」である(RQ2)。RQ1に関連して、2021年度は、顔信頼性判断課題(顔からその人が信頼できる人か信頼できない人かを判断する課題)における判断の正確性と判断への自信の関係を分析する研究を行った。実験の結果、判断の正確性(正答率)はチャンスレベル(50%)よりもわずかに高かった(平均54 %)。しかし、判断の正確性と判断への自信(自分の判断がどれくらい正しかったと思うかという予測)の間の相関は0に近かった(r=.083)。つまり、顔印象は正確だというメタ認知を持つ人の顔印象が実際に正確なわけではないという結果を得た。この研究成果については、2022年度に国内外の学会で発表予定である。RQ2に関連して、2021年度は、顔から様々な特性を判断できると信じる程度(人相学的信念)と物語読書習慣の関係を調べる調査をイギリスと日本で実施した。調査の結果、イギリスでは人相学的信念と物語読書習慣の間に負の相関が認められた。つまり、物語に接する機会の多い人ほど顔で人を判断することはできないと信じている傾向が認められた。しかし、日本では同様の関係は観測されず、この二国間差が何に由来するのかが今後の興味深い検討課題として残った。この研究成果については、2021年度に日本心理学会とPsychonomic Societyの年次大会で報告し、前者の大会では優秀発表賞を受賞した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は、次の2つのリサーチ・クエスチョン(RQ)を探求するものである。1つ目のRQは、「顔印象は正確だというメタ認知を持つ人の顔印象は実際に正確なのか、或いは、偏りを持つのか。」である(RQ1)。2つ目のRQは、「顔印象とそのメタ認知の正確性/偏りの個人差はなぜ生まれるのか。」である(RQ2)。RQ1に関連して、2021年度は、顔に基づく信頼性判断課題における判断の正確性と判断への自信の関係を分析する研究を行い、顔印象は正確だというメタ認知を持つ人の顔印象が実際に正確なわけではない(判断の正確性と判断への自信の間に有意な相関関係はない)ことを明らかにした。加えて、顔印象の正確性の個人差の安定性を調べる実験の準備として、実験に必要な顔刺激の作成を行った。RQ2に関連して、2021年度は、顔から様々な特性を判断できると信じる程度(人相学的信念)と物語読書習慣の関係を調べる調査をイギリスと日本で実施し、物語に接する機会の多い人ほど顔で人を判断することはできないと信じている傾向がイギリスにおいてのみ存在することを明らかにした。加えて、顔印象は正確だというメタ認知を持つ人と持たない人の間で顔印象の形成に使用する手がかりが異なるかを調べる実験の準備として、実験に必要な顔刺激の作成を行った。以上のように、RQ1とRQ2を探求する研究がともに着実に実施できていることから、研究は順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は、次の2つのリサーチ・クエスチョン(RQ)を探求するものである。1つ目のRQは、「顔印象は正確だというメタ認知を持つ人の顔印象は実際に正確なのか、或いは、偏りを持つのか。」である(RQ1)。2つ目のRQは、「顔印象とそのメタ認知の正確性/偏りの個人差はなぜ生まれるのか。」である(RQ2)。RQ1に関連して、2022年度は、顔印象(特に顔に基づく信頼性判断に着目)の正確性の個人差の安定性を調べる実験を行う計画である。つまり、ある顔刺激セット・時点で顔信頼性判断の正確性が高い人は別の顔刺激セット・時点でも同判断の正確性が高い傾向にあるかを検討する。RQ2に関連して、2022年度は、顔印象は正確だというメタ認知(人相学的信念として測定)を持つ人と持たない人の間で顔印象(特に顔に基づく知性判断に着目)の形成に使用する手がかりが異なるかを調べる実験を行う計画である。手がかりとしては、目の開き具合や口角の上がり具合などの意図的な操作が比較的容易なものと、顔幅の縦横比や眼間距離などの意図的な操作が比較的困難なものを比較する。ただし、顔印象に関する研究は進展が目覚ましいため、最新の研究動向を踏まえ、ホットな話題を研究の中に随時取り入れたり、種々の研究の優先順位を適切に更新したりすることで、インパクトのある研究成果を着実に挙げられるように努める。
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Causes of Carryover |
当初海外渡航として参加予定だったPsychonomic Societyの年次大会がオンラインでの実施となり、それに係る旅費の支出がなかったため。繰越分は、次年度の旅費や研究成果公表のための費用などとして使用する計画である。
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Research Products
(2 results)
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[Presentation] Bias towards trusting others is associated with insular activity before distrusting them2021
Author(s)
Suzuki, A., Ueno, M., Ishikawa, K., Kobayashi, A., Okubo, M., & Nakai, T.
Organizer
62nd Annual Meeting of the Psychonomic Society
Int'l Joint Research
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