2023 Fiscal Year Research-status Report
Pupillometry study on human visual cognition of natural images
Project/Area Number |
21K03126
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
新美 亮輔 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (60513687)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 瞳孔計測 / 視覚認知 / 情景知覚 / 物体認知 / 感覚間協応 |
Outline of Annual Research Achievements |
情景刺激の視覚観察時の瞳孔径変動について実験を行った。第一に,記憶しやすい(high memorability)画像とそうでない(low memorability)画像との比較を行い,記銘時よりも再認時に瞳孔径に影響が生じる可能性が明らかになった。この成果については学会でも報告を行った。第二に,自然画像の情景文脈整合性(scene consistency)の影響を検討した。前景物体と背景が文脈的に整合している情景画像とそうでない画像を比較した場合,やはり瞳孔径に影響が生じる可能性が明らかになった。これが何を反映しているのか,慎重に検討中である。第三に,第二の実験から予想外の発見があり,文脈的に整合していない情景画像は,整合している情景画像よりも記憶されやすいことがわかった。 昨年度の研究成果をもとに,視覚と聴覚の協応関係が瞳孔径に与える影響についても実験を行った。具体的には,明るさとピッチの協応関係や,ブーバ・キキ効果について検討した。条件を変えた複数の実験により検討したが,これらの視聴覚間協応関係は瞳孔径に影響しなかった。このテーマについては,明確な結論が得られたと思われるので,成果をまとめるため論文執筆に移っている。なお,この研究成果の一部は学会の技術報告として報告を行った。 最後に,課題切り替え(task switching)を用いて,意思決定と瞳孔径との関連についても予備的検討を行った。このテーマでは,これまで主に用いていた指標(刺激提示前のベースラインに対する刺激呈示直後の瞳孔径の変動量)ではなく,長期的なベースライン瞳孔径の変動に着目している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
技術上の問題はなく,測定にも習熟し,複数のテーマで実験を多数実施できている。順調にデータが集まっており,テーマによっては明確な結論も得られて,成果を論文にまとめる段階に達している。当初の研究計画では計画していなかった新たなテーマや知見も見出しており,それについても研究を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在実施中および準備中の実験をすみやかに完了し,研究成果をまとめるフェーズにできるだけ早く移行したい。具体的には,研究成果を国内・国外の学会において報告する。さらに,研究成果をまとめた論文を執筆し,出版することに重点を置く予定である。
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Causes of Carryover |
令和5年度中に実験実施補助業務のために支出する予定だった人件費が支出できなかったためである。具体的には,業務を依頼する予定だった者が都合により業務をできなくなったためである。瞳孔計測を行う実験であることなどから,代替の人材を用意することができなかった。次年度使用額は,主として人件費に使用する予定である。
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