2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K03132
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
小野 史典 山口大学, 教育学部, 准教授 (90549510)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | 心理的時間 / 時間知覚 / 注意 / 選択的注意 / 時間順序判断 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,提示された刺激の中の特定の特徴に選択的に注意を向ける操作を加えることで,選択的注意が心理的時間の伸縮現象に及ぼす影響を明らかにするための実験を行う。複数の要因を組み合わせることで,選択的注意が心理的時間に及ぼす影響を総合的に検討し,時間知覚と選択的注意の基礎となる処理過程を総合的に明らかにする。 今年度は,昨年度の実験の結果を踏まえて,論文を執筆し,現在,学術誌に投稿中である。また,これまでの結果を踏まえて,第2研究の事前登録を行い,実験を行った。実験では,異なる距離で移動する2つの視覚刺激を同時に呈示し,刺激が消失した直後に注意を向ける刺激を指定した。実験の結果,注意が向けられた刺激の移動距離が短い条件よりも長い条件の方が,時間間隔が長いと判断された。これらの結果は,視覚刺激の消失後に記憶中の特定の対象物に注意が向けられた場合,刺激の特性(移動距離)が時間知覚に影響することを示している。このことは,ある事象がすでに発生していたとしても,後でそれを想起する際に,注意を向けた内容によって知覚される時間が変化する可能性があることを示唆している。 加えて,これまでの研究を踏まえて,第3研究の予備実験を行った。実験では,異なる順序で異なる時間間隔で提示された2つの視覚刺激(ターゲット)に対して,参加者は時間的順序の判断を行った。手がかり刺激は左または右のターゲットの外側に提示された。実験では,手がかり刺激がターゲットより先に提示された場合,手がかり刺激側のターゲットが先に提示されたと判断された。しかし,手がかり刺激が標的の後に提示された場合には,手がかり刺激側の標的が後に提示されたと判断された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今年度は,当初の予定通り,論文執筆を行った。また,これまでの結果を踏まえて,次の実験の事前登録を行い,実験を行った。この研究成果は,日本心理学会第87回大会(神戸国際会議場・神戸国際展示場)にて発表を行った。さらに本助成を受けた2本の研究論文が国際誌に掲載された。
|
Strategy for Future Research Activity |
実験の結果をもとに論文執筆を行い,次の実験の準備をする。
|
Causes of Carryover |
実験の結果,必要な実験参加者の数が予定よりも少なくなったため,未使用額が生じた。次年度の実験参加者の謝金に使用する。
|