2022 Fiscal Year Research-status Report
記憶の変容と柔軟性の適応的発達とその障害の背景を脳に探る:自閉症児と健常児の比較
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21K03138
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
橋本 照男 東北大学, 加齢医学研究所, 助教 (40553756)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 記憶変容 / 自閉スペクトラム症 / 脳内ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は健常児と自閉スペクトラム症(自閉症)児における記憶の柔軟性、頑強性を検出し、それらに対応する脳内メカニズムを明らかにすることである。自閉症の限定的・反復的行動を記憶特性と結びつけて検討した研究はなく、 変容しにくい頑強な記憶という自閉症児のポジティブな側面を明らかにする点に独自性がある。一方で、変容しやすい記憶を形成する方略に移行することで、学習時とは別文脈でも記憶を利用して柔軟な思考を実現する健常児の記憶メカニズムを明らかにすることも目的としている。前年度に引き続き、自閉症児と健常児を参加者として募集し、絵と名前の記憶検査、知能検査、MRI撮像を行い、加えて自閉症児には自閉症観察診断検査を行った。自閉症児47名、健常児65名のデータを取得した。自閉症児の学習時と想起時それぞれの再認記憶成績は健常児と同程度であったが、健常児よりも学習時と想起時の再認成績の一致が少なかった。学習時に正しく再認できなかった名前は、想起時にも同様に再認できない傾向があった。これらの結果から、自閉症児における記憶の安定性、頑強性が示唆された。それらのデータを解析し、次年度の成果発表に向けて準備を行っている。 健常児の日常的な記憶機能に関わる脳内ネットワークの動的特性を明らかにした研究を発表した。また、子どもの発達と脳についての一般向け書籍において、学習と脳発達についての章と、学習障害と脳発達についての章を執筆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ当初計画通りのデータ数を収集することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
データ解析を行い、成果発表を行う。
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Causes of Carryover |
謝金とMRI使用料は所属部門から支出したため、次年度使用額が生じた。自閉スペクトラム症児の記憶特性をさらに検討するため、視線追跡装置を購入をして、記憶課題時の視線と記憶成績との関連を検証する予定である。
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Research Products
(4 results)