2021 Fiscal Year Research-status Report
Common mechanisms for illusory circular shape distortions induced by prolonged and flashed presentation.
Project/Area Number |
21K03145
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
櫻井 研三 東北学院大学, 教養学部, 教授 (40183818)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 図形変形錯視 / 図形残効 / 順応 / 曲線検出 |
Outline of Annual Research Achievements |
長時間観察による順応で生起する一種の残効と考えられていた円図形の変形錯視と同様の効果が,円図形とそのグラデーション図形を交替させるフラッシュ呈示により短時間で生起することを発見し,ポリゴン化効果と名付けた。本研究では,ポリゴン化効果の生起機序の解明を目的とし,ポリゴン化効果が先行研究の長時間観察での順応にもとづく図形変形錯視と同じ機構に依存するか否かについて検討している。2021年度は,ポリゴン化効果の生起機序が曲線的に並んだ小さな線検出器の集合による円の処理なのか,より大きなサイズの線検出器の出力組み合わせを補正することによる円としての処理なのかを明らかにする計画であったが,コロナ禍での感染防止対策のために換気の不十分な暗室での視覚実験を実施できず,現象を説明する理論モデルを修正するにとどまった。 ポリゴン化効果が生起すると短時間で円図形がやや丸みを帯びた角を持つ多角形に変形するが,同時にその多角形が緩やかに回転して知覚される場合がある。特定の曲率で曲線的に並んだ小さな線検出器群からなる曲線検出器の出力の組み合わせで円が知覚されるなら,この図形変形錯視の直線部分が知覚されるのは曲線検出器が順応することでより直線に近い低曲率の曲線検出器の出力が相対的に強くなる結果であると説明できるが,丸みを帯びた角の部分の形成過程と見かけ上の回転運動は説明できない。修正モデルでは,1)隣接する曲線検出器同士では逆方向の曲率の出力が順応後に相対的に強くなる,かつ2)それらの逆方向の出力はフラッシュ呈示でトリガーされ振動(交替)する,という2つの制約条件を付与した。これにより丸みを帯びた角の部分が形成されると同時に,多角形の位相(角の位置)はフラッシュごとに変化するため,仮現運動が生じて回転が知覚されると説明できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究課題では,図形変形錯視(ポリゴン化効果)の生起機序の解明を目的とし,ポリゴン化効果が先行研究の長時間観察での順応にもとづく図形変形錯視と同じメカニズムに依存するか否かについて検討している。周辺視で容易に生起するポリゴン化効果も,円図形そのものを凝視する中心視では生起しない。視野の周辺では第1次視覚野の個々の神経細胞に対応する受容野のサイズが大きくなり,視覚系の空間解像度も低くなる。この知見と考え合わせると,解像度の低い周辺視では大きな線検出器の出力を組み合わせた多角形の情報しか実際は存在しないにもかかわらず,脳がその情報を補正して滑らかな円を知覚している可能性が浮かび上がる。 2021年度はこの可能性を検証するために,網膜偏心度の違いによるポリゴン化効果の生起潜時の変化を調べる実験を計画していたが,コロナ禍での感染防止対策のために換気の不十分な暗室での視覚実験を実施できず,研究活動の中断を余儀なくされている。ゆえに,研究全体の進捗状況は「遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は,コロナ禍の状況を見据えながら実験を実施できる機会を伺う。2021年度に学会で発表したポリゴン化効果を説明する修正モデルでは,ある曲率を持つ曲線への順応の結果として,曲率が高くなる方向と低くなる方向のふたつの出力が存在し,それらがフラッシュに同期して交代する(振動する)ことにより見かけの回転運動が生じる可能性を指摘した。この可能性を検証する実験を実施し,その結果を発表できるように準備を進める。
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Causes of Carryover |
コロナ禍での感染防止対策のため,換気の不十分な暗室での視覚実験を自粛せざるを得ず,当初予定していた実験によるデータ収集が全くできなかった。2022年度は2021年度に予定していた「網膜偏心度の違いによるポリゴン化効果の生起潜時の変化」の実験と共に,「誘導グラデーションの幅の違いによる生起潜時の変化」の実験を実施して,結果を発表できるように準備を進める。
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Research Products
(1 results)