2021 Fiscal Year Research-status Report
Statistical summary representations: individual differences and learning processes
Project/Area Number |
21K03146
|
Research Institution | Mejiro University |
Principal Investigator |
時田 みどり 目白大学, 保健医療学部, 教授 (40571112)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 要約統計量表象 / 平均量推定 / 個人差 / 視覚的注意 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトには、短時間のうちに複数の事象の要約統計量を推測する機能が備わっていることが示され、刺激属性や感覚モダリティに依存しない要約統計量表象システムの存在が議論されている。一方、推定値の精度やバイアスには個人差の生じることが指摘されており、その要因の解明が重要な課題となっている。本研究では,実験室での実験とWeb上での実験を併用して幅広い参加者を対象とし,多様な認知機能との関連性を精査しながら、個人差要因を解明していく.今年度の計画は,「研究1.個人差の特定とその要因の解明」の実施であったが,実際には,準備段階での文献調査・刺激作成準備と予備実験を実施した.具体的な準備内容は,以下の3点である. 1)要約統計量の個人差要因となりうる認知機能として,視覚探索課題,MOT課題,作動記憶課題の選定した.また,臨床場面において高次脳機能のアセスメントに用いられている課題についても検討した. 2)具体的な刺激と刺激作成方法を精査した.特に,適切な視聴触覚刺激や,顔表情刺激の作成方法を調査し,顔表情刺激用データベースやモーフィングソフトを試験的に用いて刺激を作成した.また,測定方法について,Quest,恒常法,調整法での予備実験を行い,適切な測定方法を選定した. 3)平均量抽出時における入力時の行動特性を測定する手段として,視線計測の検討を行った. 当初の研究計画では予定されていなかったが,行動特性を推測する上でも,学習過程における介入手段としても,視線情報が有効であることを確認した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は,主に文献の検索や刺激作成方法や測定方法の考案,行動指標としての視線計測の有用性の検討を行った.これらの調査に時間を要し,計画していた実験室実験ならびにWeb実験の実施にいたらなかったため,進捗状況の区分を「やや遅れている」とした.具体的な進捗状況は,以下の通りである. 1)個人差要因となりうる他の認知機能の測定方法の選択:認知機能の測定には,実験心理学分野で用いられている視覚探索課題,MOT課題,作動記憶課題等と,臨床場面における高次脳機能測定に用いられる検査等に分けられる.現在,両者の中からより妥当性・信頼性の高い項目を選定している. 2)具体的な刺激と刺激作成方法,ならびに測定方法の選択:円面積と顔刺激を使用することとし,顔刺激作成については,先行研究を踏まえて妥当なデータベースとモーフィングソフトを選択した.測定方法については,計測までの対象者の疲労度等を考慮して,恒常法ではなく,調整法を選択することとした. 3)入力時の行動特性としての視線計測の検討:パフォーマンスレベルでの個人差の背景にある入力時の特性を把握する方法として,眼球運動装置を用いて視線運動を計測することとした.個人差要因のうち,1)注意配分の個人差,2)ワーイングメモリ容量の具体的な要因の特定が可能となり,延いては要約統計量推定の精度やバイアスが生じる要因の解明が可能となる.
|
Strategy for Future Research Activity |
昨年度の文献調査や刺激作成方法や計測方法の調査結果を踏まえて,2022年度には,「研究1.個人差の特定とその要因の解明」を,2023年度には,「研究2. 平均値推定を促進する教示や練習方法の考案とその効果の検討」を中心に推進していく方針である.並行して,web実験でも可能な刺激と実験方法を作成する.具体的な計画は以下の通りである. 1)2022度の5月-7月は,顔表情刺激を用いた実験刺激を作成し,予備実験を行って詳細な刺激条件を設定する.また,要約統計量推定課題実施中の視線運動計測についての予備実験を行い,刺激方法の調整を行う. 2)予備実験の結果を精査した上で,本実験の実験計画をたて,9月- 12月に学生を対象とした実験を実施する.上記の実験室実験の結果を踏まえてweb実験用のプログラムを作成し,予備実験を行う.その際,web実験結果と実験室実験の結果とを比較検討し,web実験の信頼性と妥当性を検証する. 3)2023年度は,上記の研究結果を踏まえて,個人差要因が明確となった参加者に対して要因に応じた練習課題を考案し、練習セッションを実施した上で、平均値推定の成績が向上するか否かを検討する。実験室での効果が示された後に、Webでの練習課題を作成し、実施する。その際に,平均値推定課題の教示別学習効果を検討する。有効であると判断される教示を考案し、練習セッションを行ってその効果を検討する計画である. 研究結果について,両年度とも,11月に学会発表,3月末には論文を投稿する予定である.
|
Causes of Carryover |
以下2つの理由から,次年度使用が生じた. 1.COVID-19感染の影響を受け、計画通りの実験参加者募集・実験の実施・学生実験補助要員の依頼が困難となったため,謝礼と謝金の支払いが生じなかった。 2.COVID-19感染の影響を受け,予定していた国際学会への参加が遠隔での発表となったため、計画していた旅費が生じなかった。 次年度は,実験参加者への謝礼、実験補助要員への謝金,国際学会への参加について計画通りに使用する.また,眼球運動装置を購入する計画である.
|
Research Products
(1 results)