2022 Fiscal Year Research-status Report
アファインヤンギアン・W代数の表現論と関連する可積分系の研究
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21K03155
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
小寺 諒介 千葉大学, 大学院理学研究院, 准教授 (20634512)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | アファインヤンギアン / W代数 / 表現論 / 可積分系 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までの研究で,アファインヤンギアンから長方形型の冪零元に付随するW代数への代数射を構成した.一般の冪零元に付随するW代数の場合に成果を得ることを目標に,次の(1)-(3)の観点から研究を行った. (1)有限W代数に対するBrundan-Kleshchevの理論の整備:始めに述べた研究目標は,Brundan-Kleshchevがシフトヤンギアンと有限W代数について行った研究のアファイン版である.近年シフトヤンギアンの研究が進展しているので,現在の観点からBrundan-Kleshchevの理論を見直して整備することを試みた.極小冪零元に付随する場合は,シフトヤンギアンの余積とevaluation写像を組み合わせてBrundan-Kleshchevの結果を解釈できることがわかった.また,同じく極小冪零元に付随する場合に具体的な表現を計算し,その構造を調べた. (2)極小冪零元に付随するW代数:極小冪零元に付随するW代数の生成元を記述した.生成元の間の関係式を部分的に計算し,シフトアファインヤンギアンの関係式と比較した.論文として公表できる成果はまだ挙がっていないが,二つの代数の類似性を確認することができた. (3)これまでの研究成果の周知:2021年度に出版された論文の結果について,研究集会「組合せ論的表現論における最近の展開」で講演した.対面での講演は2019年以来である.講演の内容は前年度までに得た結果ではあったが,これまで十分に周知できていなかった.関連する研究者とこの結果について議論し,今後の研究についての知見を得ることができる有意義な機会となった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
シフトヤンギアンと有限W代数についてのBrundan-Kleshchevの理論は,一般の場合を扱うとかなり複雑だが,極小冪零元の場合に限ると様々な部分が簡単になる.研究実績の概要(1)で述べたことは新しい結果とは言えないが,極小冪零元の場合に具体的な計算をすることで,ある程度状況を把握することができた. (2)は,極小冪零元に付随するW代数とシフトアファインヤンギアンの関係を明らかにするために必要なステップの一つである. 以上を総合して,研究はおおむね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
まず,極小冪零元に付随するW代数に対してシフトアファインヤンギアンとの関係を明らかにする.その際,対応する有限W代数との類似点に着目して研究を進める. 長方形型の冪零元の場合は,すでにW代数とアファインヤンギアンの対応を得ているので,その結果を双方の表現論に応用し,テンソル積表現の研究を進める.また,関連する可積分系との具体的な関係を明らかにする.
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Causes of Carryover |
2022年度は,2019年度以来となる国内出張を行ったが,まだ数は以前より少なく,国外出張は行わなかった,そのため次年度使用額が生じた. 対面の研究集会が徐々に復活し,国内外の研究者と直接会って議論することも可能になりつつあるため,繰り越し金を2023年度の出張費に充てる予定である.
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