2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K03164
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
森本 和輝 神戸大学, 理学研究科, 准教授 (20725254)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | 保型L関数 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に発見した新たなアイデアを用いることで、ユニタリ群の場合にWhittaker周期の市野-池田型公式についてのLapid-Mao予想を任意のgenericなカスピダル保型表現について証明することができた。また、genericでない場合についても、適当な保型表現の強いリフティングがあれば、明示公式が成り立つことがわかった。証明の中で、偶数次ユニタリ群の場合には、Lapid-Maoによる局所予想を実素点において証明することが出来た。この局所予想は離散系列表現の場合には形式次数予想と同値であり、今回の結果は形式次数予想のある種の一般化の証明と捉えることができる。また、奇数次ユニタリ群の場合には、Beuzart-PlessisとChaudouardらによるtempperedな場合の結果があったが、それを一般の場合へと拡張できたことになる。 Erez Lapid(Weizmann Institute of Science)とZhengyu Mao(Rutgers Univ.)との共同研究として、古典群の場合のLapid-Mao予想の局所予想への還元について考察した。実際、斜交群の場合には、以前のLapidとMaoの結果と類似の議論により、局所予想へと還元できることがわかった。また、偶数次直交群の場合には、Whittaker周期ではなく拡張したWhittaker周期を考察する必要があることがわかった。この場合においても、他の群の場合の類似の考察により、拡張したWhittaker周期についての明示公式を適当な局所予想へと還元できることがわかった。さらに、保型形式の制限を考えることにより、特殊直交群のWhittaker周期の明示公式が、この拡張したWhittaker周期の明示公式から従うことがわかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで取り組んでいたユニタリ群の場合のLapid-Mao予想を証明できたことは、保型L関数の特殊値の研究において非常に有意義な結果だと考えられる。また、古澤昌秋氏との一般化Boecherer予想についての共著論文がCompo. Math. に掲載受理となった。
|
Strategy for Future Research Activity |
保型表現にtemperedという条件を課さない場合への精密化Gan-Gross-Prasad予想の一般化に取り組んでいく。次年度は、(SO(5), SO(2))の場合の精密化Gan-Gross-Prasad予想を一般のカスピダル保型表現について考察する。ユニタリ群の場合のLapid-Mao予想の証明で用いた手法の類似と、temperedな場合の古澤氏との論文の手法を組み合わせて証明に取り組む。可能であれば、Siegel-Mass形式の場合に、Boecherer予想の類似の公式の証明に取り組む。LapidとMaoとの共同研究については、奇数次直交群の場合に取り組む。
|
Causes of Carryover |
前年度は新たなアイデアが上手くいくことがわかり、論文の完成に専念することとしたため出張が少なくなった。そのため、次年度使用額が生じた。本年度は新たな問題に取り組むため、様々な研究者と議論をする必要があると考えられ、そのために幾つかの海外出張を含めた出張を予定している。また、この研究では新たな知識を要求されるため、次年度繰越金は出張費に加え、これらの知識獲得のための書籍購入の費用に充てたい。
|