2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K03165
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
大関 一秀 山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (70445849)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 可換環論 / 局所環 / ヒルベルト函数 / ヒルベルト係数 / Sally加群 / 随伴次数環 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はヒルベルト函数を用いて局所環やそこに含まれるイデアルの構造の分類を行うものである。本研究課題の初年度である令和3年度は,国内に於ける研究活動を主に計画を立てた。その中で主に,Stretchedイデアルの構造の研究に従事した。 Stretchedイデアルは,1970年頃にJ. Sallyによって導入された準素イデアルであり,現在も多くの可換環論研究者によってその構造の解明が行われている。Stretchedイデアルのヒルベルト函数およびSally加群の構造を考察し,それらを用いて随伴次数環の構造の解明を行った。具体的には,イデアルの節減数と冪零指数の関係に着目し,Stretchedイデアルのヒルベルト函数の挙動および随伴次数環の深さの評価を与えたが,その証明の際に第1ヒルベルト係数の理論を活用している。この結果の応用として,節減数が小さいStretchedイデアルの構造を決定することが可能となった。さらに,Sally加群の階数が4以下となるようなStretchedイデアルの構造の決定も行った。また,これらの研究成果に対応するStretchedイデアルの具体例の構築を数値的半群環にて行っている。 これらのStretchedイデアルに関する一連の研究成果を2編の学術論文に纏め,その内の1編がActa Mathematica Vietnamicaにて出版された。また,もう1編も国際数学専門雑誌に受理され,次年度以降に出版される予定である。 上述の研究成果について,オンライン可換環論セミナー2021(2021年7月)や日本数学会2021年度秋季総合分科会(2021年9月)および日本数学会2022年度年会(2022年3月)にて発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
COVID-19の感染拡大の影響により,当初の研究計画の多くが延期もしくはオンラインでの実施となったが,研究実績の概要で述べた通り、2編の学術論文の執筆と3件の研究成果発表を行うなど,一定の研究成果を得ることが出来た。以上の事から,本研究は現在までに,おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の初年度(令和3年度)の研究成果によると,Stretchedイデアルの構造はSally加群の理論と相性が良いことから,その構造に着目することによりさらなる研究成果が期待できる。今後もこの視点で本研究を推進していきたい。また,理論構築に併せて豊富な具体例の構成も行っていく。 初年度は,国内に於ける研究活動を主に計画したが,次年度以降は海外に於ける研究活動を加えて展開していきたい。
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Causes of Carryover |
COVID-19の感染拡大の影響により,当初参加を予定していた国内の学会・研究集会が全てオンライン開催もしくは延期となった為,次年度に使用する運びとなった。 可換環論シンポジウム,環論および表現論シンポジウム,日本数学会秋季総合分科会・年会といった国内で開催される学会・研究集会にて成果発表を行うための旅費を申請する。また,東京可換環論セミナーがほぼ毎月都内および近郊の大学にて開催予定であることから,同セミナーに参加し情報収集を行う為の旅費を計上する。
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Research Products
(4 results)