2021 Fiscal Year Research-status Report
Study on the dimension of the adjoint bundle due to invariants of polarized manifolds
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21K03166
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
福間 慶明 高知大学, 教育研究部自然科学系理工学部門, 教授 (20301319)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 偏極多様体 / 射影多様体 / 豊富な因子 / 随伴束 / 断面幾何種数 |
Outline of Annual Research Achievements |
以下では, Xをn次元非特異複素射影多様体, KをXの標準因子, LをX上の豊富な因子とする. さらに, K+tLの大域切断のなす次元をf(t)とおく. このときf(t)はtに関する多項式となることに注意する. 3つある本研究目的のうち, 令和3年度は特に以下の(課題1)と(課題2)について研究を進めた: (課題1) nが5以上の整数のとき, K+(n-1)LがnefならK+(n-1)Lの大域切断のなす次元が正となるかについて調べる. (課題2) nが6以上の整数であり, かつLの大域切断のなす次元が正の時に以下の(予想)が正しいかどうかについて考察をする.(予想)n+1以上の任意の整数mに対して, K+mLの大域切断のなす次元が(m-1)!/{n!(m-1-n)!} 以上となる. さらに, n+1以上のある整数mで随伴束K+mLの大域切断のなす次元がちょうど(m-1)!/{n!(m-1-n)!}になるとき, Xはn次元射影空間となり, Lはその超平面となる. まず(課題2)に関しては, n=6の時に考察を行った. その際に仮定していることとして, Lが大域切断をもつ豊富な因子の場合を考えるが, n=6の場合には現時点ではその条件だけではうまくいかないことがわかった.特に, f(1)とf(2)とf(3)の値の様子が関数f(t)全体に影響を与えていることがわかった. また(課題1)については n=5の場合を考えているが, これもやはりf(1)とf(2)の値の様子がわかれば解決に向けて前進することがわかる. いずれにしても, tが小さいときのf(t)の値の様子がK+tLの大域切断のなす次元の値に影響を与えていることがわかり, 問題の困難性を改めて確認した形となった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究目的として設定した3つの課題のうち, 2つの研究課題についての考察すべき点を具体的にあげることができた. したがって今後の研究の方向性が具体的にわかってきたことによりこのように評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
Xをn次元非特異複素射影多様体, LをX上の豊富な因子とする. さらに, K+tLの大域切断のなす次元をf(t)とおく. 今後の研究推進については, 上記の研究成果を踏まえて以下のことについて取り組んでいく.(課題1)については, n=5の場合にf(1)とf(2)の値の様子を考察する. その際に必要に応じてXが特別な射影多様体となる場合についても考察してみる.(課題2)については, n=6の場合について, Lが大域切断を持つという仮定以外に, f(1), f(2), f(3)の値の様子に関する条件を設定して考察を行う. さらにf(1), f(2), f(3)の値の様子に関する条件が一般に成り立つかについても考察する. その際に必要に応じてXが特別な射影多様体となる場合についても考察してみる. なお、本研究課題として設定していたものに以下の(課題3)がある:(課題3) nが4以上の整数でK+(n-2)Lがnefの時, K+(n-2)Lの大域切断のなす次元が正となるかを調べる. これについてもn=4の場合に引き続き考察を行っていく. 基本的に問題となるのはXの小平次元が-∞の場合であるので, Xが特別な射影多様体である場合を含めて, 多方面から考察を進めていきたい. さらに, 上記研究課題以外にも, 本研究課題に関連する話題が生じた場合にはそれについても研究して, 本研究課題との関連性も含めて考察をしてみる予定である.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染状況の関係で研究集会の開催や学会参加のための出張等を見送ったため, それに関係する予算の執行ができず, 次年度に繰り越すこととなった. この繰り越した予算の使用計画としては, 学会参加のための旅費や代数幾何学関係の書物の購入等に充てる予定である.
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