2022 Fiscal Year Research-status Report
Structural study of algebraic varieties from the viewpoint of the positivity of the tangent bundle
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21K03170
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
渡辺 究 中央大学, 理工学部, 准教授 (20638176)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 接束 / ネフ / 外積 / ファノ多様体 / 等質多様体 |
Outline of Annual Research Achievements |
接束の外積がネフな多様体の構造について研究を行なった。接束がネフな複素非特異射影多様体の構造はDemailly-Petenrell-Scheniderにより研究された。その結果、そのような多様体は、適当なエタール被覆をとると、アーベル多様体上のファノファイバー空間の構造をもち、そのファイバーは再びネフ接束をもつことが知られていた(以下、DPS定理)。また、ネフ接束をもつファノ多様体は等質多様体となることが予想されており、この予想をCampapa-Peternell予想(以下、CP予想)という。CP予想は5次元まで正しいことが知られているが、一般次元では未解決である。 DPS定理を接束の2次の外積の場合に拡張できることが私の研究により知られていた。2022年度はその結果をより一般化することに成功した。具体的には次の結果を得た:「Xをn次元複素非特異射影多様体とする。このときXの接束のr次外積(r<n)がネフであれば、DPS型の定理が成立する。」さらに、この系として、次を得た:「Xをn次元複素非特異射影多様体とする。このときXの接束のr次外積(r<n)がネフであり、かつ有理連結であれば、Xはファノ多様体である。」この系はLi-Ou-Yang予想の大部分を解決したことを意味する。さらに、3次外積がネフな多様体の構造について、より詳細に調べた。これについては継続して今後も研究を行う。一方、中央大学の髙橋優太氏と共に正標数の場合のCP予想について結果を得た。具体的には4次元かつピカール数が2以上のネフ接束をもつファノ多様体の構造を決定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Xの接束のr次外積がネフな多様体の構造定理を得ることは有理曲線の変形理論を用いる従来の方法では難しく、先行結果を一般化することは困難だと思われていた。しかし、2022年8月に東京大学で行われた代数幾何学セミナーにおける C. Gachet氏の講演を聴いたことが大きな転機となった。Gachet氏の結果と一般的な外積とネフ性の関係を用いることにより、今までの結果を大幅に一般化することができた。その結果、それを用いてさらに詳細な構造研究に着手することができた。また、それとは別に髙橋優太氏とCP予想に関連する結果も得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
接束の3次外積がネフである多様体の構造について継続して研究する。より詳しく、まずは収縮射の分類を行う。ほとんどの場合、収縮射は非特異となる。そのため、有理曲線の変形理論を用いることにより、非特異でないような場合を分類することが目標である。また、その結果と収縮射の構造定理を用いることにより、接束の3次外積がネフな4次元のファノ多様体の分類を行う。さらに、擬指数が2以上の4次元ファノ多様体の分類も行いたい。現時点では Banica sheaf, quadric bundle, projective bundle などの場合に帰着されると期待している。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響により出張などができなかったため。
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