2021 Fiscal Year Research-status Report
アフィン超リー代数の狭ヴァーマ加群の構造解明およびワイル亜群との関連
Project/Area Number |
21K03177
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
古閑 義之 福井大学, 学術研究院工学系部門, 教授 (20338429)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アフィン超リー代数 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、数理物理学の研究を通してsl(2,1)型のアフィン超リー代数の場合に導入されたある特別なタイプの一般化されたヴァーマ加群(最初に導入された論文に従って狭ヴァーマ加群と呼ぶ)の構造を、他の型のアフィン超リー代数の場合に拡張することを主な研究目的としている。更に、得られた狭ヴァーマ加群の構造と、リー代数の表現論で重要な役割を果たすワイル群の拡張であるワイル亜群との関連を調べる。 これまでの研究により、sl(2,1)型のアフィン超リー代数の場合には、狭ヴァーマ加群の間の準同型写像がどのような場合に非自明となるか等の狭ヴァーマ加群の性質がわかっていた。本年度は、研究実施計画でも述べたように、表現論が比較的取扱いの容易なアフィン超リー代数である sl(n,1)型やosp(2,2n)型の場合に、狭ヴァーマ加群の性質を調べた。現時点では、(1) 狭ヴァーマ加群のエンライト関手による像の決定、(2)それを用いた狭ヴァーマ加群の間の非自明な準同型写像の分類について研究が完了している。更に、これらの結果を用いて、sl(n,1)型のアフィン超リー代数の可積分表現の狭ヴァーマ加群を用いたBGG型レゾリューションを構成できる。osp(2,2n)型の場合のBGG型レゾリューションについても、同様の手法で構成が可能であると期待される。また、上で述べた狭ヴァーマ加群のエンライト関手による像が、超リー代数表現論特有の奇鏡映を用いて記述されることから、ワイル亜群との関連することも期待される。これらは今後の課題とする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画の段階では、令和3年度は、sl(n,1)型とosp(2,2n)型のアフィン超リー代数の場合に狭ヴァーマ加群の構造を調べ、その結果をもとに可積分表現のBGGレゾリューションを構成することを予定していた。また同時により詳細な解析が必要となる他の型のアフィン超リー代数についての研究も開始する計画であった。 sl(n,1)型の部分に予定よりも時間がかかっているためosp(2,2n)型の狭ヴァーマ加群を用いたBGG型レゾリューションについては、令和4年度も研究を継続する。令和3年度は、研究用PCや数式処理システムのヴァージョンアップにより研究環境を整えた上で、他の型のアフィン超リー代数の狭ヴァーマ加群に関する研究データを集める予定であったが、納期の問題で研究用PCが年度内に購入できず、この部分の計画は実施できなかった。これについても令和4年度に研究を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は、令和3年度の計画で完了できなかったosp(2,2n)型のアフィン超リー代数について、可積分表現の狭ヴァーマ加群によるBGGレゾリューションの構成を完了させる予定である。また他の型のアフィン超リー代数について研究を行う準備として、研究実施計画で述べたsl(2,2)型やosp(3,2)型アフィン超リー代数について、数式処理システムを活用して、狭ヴァーマ加群の特異ベクトルなどのデータを集める。数式処理システムで無限次元のアフィン超リー代数を扱うのが最初は困難が伴う可能性がある。その場合は、準備段階として、有限型のsl(2,2)型やosp(3,2)型の場合を研究対象に含めることを検討する。
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Causes of Carryover |
新型コロナの影響で、出席を予定していた学会や研究会がオンラインでの開催となり、また研究打ち合わせも実施しなかったため、旅費の支出がなくなった。同時に研究用PCの購入が、納期や学内の予算執行期限の関係で、年内に行えなかったため、次年度の購入に予定変更した。これらの旅費や研究用PCの購入は、令和4年度に実施する予定である。
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