2022 Fiscal Year Research-status Report
可換環論・数え上げ組合せ論・組合せトポロジーの間の相互関係の研究
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21K03190
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
村井 聡 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (90570804)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 凸多面体 / スタンレー・ライスナー環 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は可換環論と組合せ論の間の相互関係を発展させることである。特に、現在知られている「(a) 可換環論における単項式イデアルの研究」、「(b) 凸多面体の数え上げ組合せ論」、「(c) 単体的複体の組合せトポロジー」、の間の相互関係を更に発展させることを目指している。本年度の主な研究は以下の通りである。 1.Isabella Novik (University of Washington), Hailun Zheng (University of Houston-Downtown)と共に、4次元以上の素な単体的凸多面体のaffine stressが多面体のアフィン型を決定する、というGil Kalaiの予想について研究を行った。Affine stressは多面体のアフィン型の概念を高次元化したものであるが、代数的には多面体から定まるスタンレー・ライスナー環を0次元化したものの双対に相当する概念と考えることが出来る。本研究では凸多面体のスタンレー・ライスナー環の持つHard Lefschetz性と呼ばれる代数的な性質を用いて、Gil Kalaiの予想を5次元以上の場合に証明することに成功した。 2.上記の研究に加え、吉永正彦(大阪大学)・東谷章宏(大阪大学)と、平行移動をした際に有理凸多面体のエルハート準多項式がどのように変化するかという問題について研究を行った。特に、本問題がconic divisorial idealと呼ばれる代数的な対象と関連することを発見し、conic divisorial idealのヒルベルト関数を用いたエルハート準多項式の新しい計算方法を考案した。 上記の研究成果は論文として取りまとめ、国際的な学術誌に投稿する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年は凸多面体に関するGil Kalaiによる予想をスタンレー・ライスナー環についての代数的な手法を用いて四次元以外の場合に解決することに成功するなど、本研究の目的である、可換環論・凸多面体・単体的複体の相互関係の研究の発展に貢献でき、研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は以下の点を中心に研究を進めたい。 1.2022年度から Madhu Manjunath (IIT Bombay)と3次元凸多面体のスタンレー・ライスナーイデアルのベッチ数についての研究に関する議論を開始しており、non-path complexと呼ばれる単体的複体を用いたベッチ数の新しい計算方法に関する研究を進めている。2023年度も本研究を継続し、この新しい計算方法を発展させその応用について調べる。 2.2022年度から Thanh tam Nguyen (Hung Vuong University)とbalancedと呼ばれる良い性質を持つ凸多面体をvolume多項式と呼ばれる多項式を用いて調べる研究を開始している。2023年度も本研究を継続し、この手法を用いてbalancedな凸多面体の面の個数の最大値を求める研究を進める。
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Causes of Carryover |
コロナの影響により2021年度の未使用額が多く、2022年度も若干の次年度使用額が生じた。現在航空券代が高くなっており、次年度使用額は2023年度の海外渡航費が当初予定より高くなる分の補填に用いる。
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Research Products
(3 results)