2023 Fiscal Year Research-status Report
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21K03196
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
名越 弘文 群馬大学, 大学院理工学府, 准教授 (70571165)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | L関数 / ゼータ関数 / 値分布 |
Outline of Annual Research Achievements |
リーマン・ゼータ関数やL関数たちの値分布論において、Voroninにより発見された普遍性と呼ばれる性質やそれをさらに強くした同時普遍性と呼ばれる性質が知られている。これまで、この分野の研究は、複素変数の虚部を動かすといういわゆるt-aspectと呼ばれる場合の研究がほとんどであった。以前に、研究代表者は見正秀彦氏との共同研究で、実指標たちに付随するディリクレL関数たちの族に対して同時普遍性を証明した。その研究においては,s=1での同時値分布についても考察し、二次体たちの類数たちに対して、同時稠密性の結果を得た。複数個の適当なL関数たちに対して、ある極限において現れる多次元確率測度に対して同時確率密度関数が存在するという予想について、研究代表者はまずはt-aspectの場合において考察を行い、ある程度の結果を得ていた。また、研究代表者は以前に、実指標たちに付随するディリクレL関数たちの対数たちの導関数たちに対して関連する考察を行った。特に、1階導関数の場合は、二次体たちのEuler-Kroneckerの定数たちに関連するものであり興味深いものである。このような同時値分布を考えることにより、二次体たちに対し類数たちとEuler-Kroneckerの定数たちの同時値分布に関してある程度の成果を得ることができた。本年度においては、ある形の実指標たちに付随するディリクレL関数たちの対数たちに対して、ある同時値分布を考察して、その多次元確率測度に関する同時確率密度関数の存在に関してある程度の成果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に得られた成果の内容は、研究計画調書において予定していた内容を含んでいる。また研究計画調書に沿って文献を調べていく中で新たに得られた知識も使っており、このように本年度の成果は全体としては当初に予定していたものや関連するものとなっている。そのため、研究としてはおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度においては、本年度に得られた成果たちを論文にまとめる作業に着手したい。前年度に得られた成果たちについてまだ論文が完成していないものがあるので、その論文を完成させたい。また、研究計画調書に沿って残された課題を推進していくが、本年度の研究の際に生じた新たな課題にも着目する。当初の計画を大幅に変更する必要はない。
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Causes of Carryover |
次年度に国外の研究集会への参加を予定しているが、物価の上昇によりその旅費がどの程度必要になるかが不確実になっている。そのため、本年度において支出額を予定より減らし次年度に回すことにした。ただし、本年度の研究に支障がないくらいの金額にとどめた。
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