2021 Fiscal Year Research-status Report
係数環付きアーベル多様体のモジュライ空間のコンパクト化と log 幾何
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21K03199
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
中山 能力 一橋大学, 大学院経済学研究科, 教授 (70272664)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | アーベル多様体 |
Outline of Annual Research Achievements |
当研究は係数環付きアーベル多様体のモジュライ空間のコンパクト化を、log 幾何を用い、係数環付き log アーベル多様体のモジュライ空間として構成することを目指すものであった。2021年度は、この目標を達成するための方針を策定かつ精査し、どこに困難があるかを検証した。その結果、まず、退化なしの場合と同様に、係数環を忘れることによって、すでに構成されている係数環なしの場合のモジュライ空間に射を作り、それが表現可能であることを、2つの log アーベル多様体の間の Hom 層の表現可能性に帰着させて示す方針が有力であることが確認できた。また、その方針における二つの大きな困難は、係数環なしとはいえ、偏極が principal ではない log アーベル多様体のモジュライ空間の表現可能性が必要と思われる点、および、双対 log アーベル多様体がまだ構成されていない点であるとまとめられた。しかしその後さらに検討を続けた結果、偏極が標数と素な場合は、同種を modulo にしてモジュライ関手を書き直すことによって、結局偏極が principal である場合のみを考えればよいことが示せるとわかった。偏極が principal な場合は双対 log アーベル多様体は偏極の像としても定義できるので、双対 log アーベル多様体の本来の定義をその定義で代用することによって、双対 log アーベル多様体の一般論に踏み込むことなく目的を達成できる可能性がある。以上のことから、偏極が標数と素な場合の係数環付きlog アーベル多様体のモジュライ空間はここまでの結果からすでに構成できる可能性があると考えており、現在細部の検証を続けている。 さらに、並行して log Artin criterion の改良にも取り組んでおり、これを用いた別の証明方針も検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当研究は係数環付きアーベル多様体のモジュライ空間のコンパクト化を、log 幾何を用い、係数環付き log アーベル多様体のモジュライ空間として構成することを目指すものであるが、初年度に方針が決まり、主要な問題点も明らかになっているため、おおむね順調であるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
2022 年度は、横浜国立大学、シカゴ大学の共同研究者と緊密に連絡を取り合い、2021 年度に明らかになった諸課題に取り組みつつ、係数環付きアーベル多様体のモジュライ空間のコンパクト化の構成の細部の検証、複素数体上の場合の構成および先行研究との関係などを研究する方針である。新型コロナウイルス感染症対策のため、直接会合を持つことができない場合は、web 会議システムなどを利用して対応する予定である。
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Causes of Carryover |
参加が予定されていた複数の研究集会が新型コロナウイルス感染症対策のため web 開催となったため。次年度使用額は online 環境などを整えるための、各種機材、消耗品などを購入する予定である。
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Research Products
(3 results)