2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K03201
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
伊藤 敦 岡山大学, 自然科学学域, 准教授 (90712240)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | アーベル多様体 / シジジー |
Outline of Annual Research Achievements |
代数多様体の射影空間への埋め込みが与えられた時,その定義多項式の間の関係式やその関係式の間の関係式等は(高次の)シジジーと呼ばれる.「p番目までのシジジーが単純になる」とき,その埋め込みは条件(N_p)を満たすといい,(N_p)は直線束の正値性に関する条件列をなす.一般にこの条件が満たされるかどうかを確認するのは容易でないことが多いが,アーベル多様体の場合は比較的よく調べることができる. 比較的最近Pareschi氏とJiang氏は偏極アーベル多様体に対しbasepoint-freeness thresholdという不変量(以下BFTと略す)を導入し,彼ら及びCaucci氏はその不変量が小さいならば(N_p)が成り立つことを示した.また(N_p)以外にもジェット豊富性という直線束の性質との関連もわかっている.したがってBFTを具体的に計算,評価することは重要であり,最近いくつかの方法が進展してきている. 偏極アーベル多様体に対し,「型」と呼ばれる正の整数の列が定まる.以前に(1,...,1,d)型の一般の偏極アーベル多様体に対しBFTの評価を行ったが,当該年度はその結果を一般の型に対して拡張した.その応用として ・大域切断の次元が2^{2g-1}より大きい一般のg次元偏極アーベル多様体は射影正規であることを示した.なおこの2^{2g-1}はこれ以上小さくすることはできないこともわかる. ・偏極アーベル多様体の超曲面がInfinitesimal Torelli Theoremを満たすための,型に関する具体的な十分条件を与えた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
偏極アーベル多様体の直線束の正値性をはかる不変量であるbasepoint-freeness thresholdの評価が得られ,またそれを用いて射影正規性やInfinitesimal Torelli Theoremといった幾何的性質を得ることができたため.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きbasepoint-freeness thresholdの計算,評価方法を調べ,またそれの応用について考える.
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Causes of Carryover |
Covid-19の影響により,参加予定の研究集会が中止もしくはオンライン開催になったため.
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Research Products
(2 results)