2021 Fiscal Year Research-status Report
Zero distribution of Dirichlet L-functions
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21K03204
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
宗野 惠樹 神戸大学, 理学研究科, 学術研究員 (10735989)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 一般リーマン予想 / ディリクレL関数 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度はディリクレL関数の中心線上の零点の割合の評価を行った. リーマンゼータ関数の自明でない零点はすべて関数等式の中心線Re(s)=1/2上に存在する、という予想をリーマン予想といい、数論におけるもっとも重要な予想の1つと考えられている。そして、同様のことが原始的指標に付随するディリクレL関数に関しても成り立つと広く信じられている。 これらの予想に関してはHardy, LittlewoodやSelberg以来解析的整数論による伝統的なアプローチが知られているが、現代では様々な軟化子や指標に関する篩、あるいはMathematicaなどの計算ソフトによる数値計算など新しい手法も多く発明されており、私の研究も古典的なアプローチと現代的なテクニックの両方をバランスよく取り入れたものである。 研究成果としては、原始的指標に付随するディリクレL関数の自明でない零点は、関数を定義する指標とコンダクターに関する平均を取ると、少なくとも60%以上は関数等式の中心線上に存在することを証明した。これまでの先行結果としては56%の自明でない零点について同じ主張が成り立つことが知られていたが、この記録を大きく更新できたことはかなり重要な成果であると考えている。また、数値的な改善のみならず、複雑な軟化子を含んだ計算技術は零点分布の研究において今後も広く活用できるのではないかと期待できる。 これから先も引き続きリーマンゼータ関数やディリクレL関数の解析的性質の研究を続ける所存であるが、今回開発した技術と経験を今後の研究にも大いに取り入れていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ディリクレL関数の解析的な取り扱いは指標の複雑さがありリーマンゼータ関数よりも難しいと一般的に考えられているが、最初の1年間である程度数値的な結果を出すことができ、論文投稿にこぎ付けることができたので、おおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きディリクレL関数やその他のL関数の解析的性質の研究を継続する予定である。特に保型L関数の積分平均や零点分布などの研究に力を入れたい。余裕があれば素数分布論の研究との関連性も見出していきたい。
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Causes of Carryover |
該当年度はコロナ禍の影響で研究集会などに出張することができず、また研究上必要な図書や備品も想定より少なくなったため、余りが生じた。 今年度は計算ソフトやPCを購入し、研究環境をより豊かなものにするために経費を活用する所存である。
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Research Products
(2 results)