2022 Fiscal Year Research-status Report
Zero distribution of Dirichlet L-functions
Project/Area Number |
21K03204
|
Research Institution | Kanto Gakuin University |
Principal Investigator |
宗野 惠樹 関東学院大学, 理工学部, 准教授 (10735989)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 解析的整数論 / 素数分布 / 詰め込み問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、正方形の中に様々なサイズの正方形を無駄なく詰め込む(これを完全詰め込み, perfect packingという)計量幾何学の問題を、素数分布論などの解析的整数論の方法を用いて研究した。この研究は、去年2月ごろにarXivに発表されたTerence Taoの論文の一般化にあたる。 具体的には、正の値を取るある単調増加な関数fと、自然数n_[0}および任意のパラメータ1/2<t<1に対し、一辺の長さがf(n)^{-t} (n≧n_{0})の正方形たちが、面積がΣ_{n≧n_{0}}f(n)^{-2t}の正方形に無駄なく詰め込まれるための関数fの十分条件を10個の不等式で記述した。先述したTaoの研究は、f(n)=nの場合に相当する。私の研究では、f(n)が等差数列の場合や、n番目の素数を与える関数の場合にも、n_{0}を十分大きく取ることで、このような完全詰め込みが可能であることを証明した。また、f(n)が双子素数を与える場合にも、少し大きい正方形に詰め込みが可能であることを証明した。証明には一部Mathematicaによる数値計算を用いた。 同様の結果が、3次元立方体や、より一般のd次元の図形においても、ある条件下で実現することが期待され、それは今後の課題の一つとして検討している。また、この研究で用いた関数の構成法は今回の問題以外の整数論の諸問題にも幅広く応用できると期待され、ぜひ活用していきたい。 研究成果は論文として発表し、Discrete Mathematics誌にアクセプトされ、2023年1月に掲載された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画に沿った研究を始めて2年が経過したが、これまでにL関数の零点密度に関する研究と正方形の完全詰め込みに関する研究で一定の成果を挙げ、合計2本の論文が海外の専門誌に掲載されるに至った。当初予定していた計画から考えると、かなり順調に研究が実施できていると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度は隣接する素数の差の問題など、素数分布論のより中心的な研究を行いたい。具体的には、隣接する素数の差が非常に大きくなる場合、素数自身の大きさに比べてその差はどの程度大きくなりうるのか、という問題を研究する予定である。
|
Causes of Carryover |
地方の研究集会に参加するための旅費に20万円程度必要かと想定していたが、感染症対策のためオンライン開催になった研究集会が複数あり、そのため研究費に余りが生じた。 今年度は実地での研究集会の開催も増えると思われるので、それらに積極的に参加し、また研究用の電子機器(ノートPC、iPadなど)を購入することに研究費を利用する予定である。
|
Research Products
(1 results)