2023 Fiscal Year Research-status Report
Arithmetic and combinatorial study on multiple zeta functions from the viewpoint of symmetric functions
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21K03206
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
山崎 義徳 愛媛大学, 理工学研究科(理学系), 教授 (00533035)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 多重ゼータ関数 / Schur 関数 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の主研究対象は、Schur 多重ゼータ関数である。これは、表現論や組合せ論など数学の様々な分野で重要な役割を果たす Schur 関数のゼータ関数類似であり、現在様々な研究者によって研究が進められている。まず、昨年度末に投稿した Schur 多重ゼータ値の和公式に関する論文が無事出版された。和公式とは、形と重さを固定したときに、それらを持つ Schur 多重ゼータ値全体の和に関する公式のことである。この論文では Schur 多重ゼータ値に対する Jacobi-Trudi 公式を用いることで、形が ribbon 型の場合および角を1つだけ持つ場合に和公式を得ることができた。Jacobi-Trudi 公式はE型(多重ゼータ値を使ったもの)とH型(多重ゼータスター値を使ったもの)の2種類があるが、後者の場合はE型を使った研究しか行うことができていなかったため、本年度はH型を使ってどのような公式が得られるか研究を進めた。組合せ論的な議論で一部証明ができていないところがあるが、多重ゼータ値と多重ゼータスター値の間の双対性が垣間見えるような公式が成り立ちそうなことを数値実験で確認することができた。一方で、Schur 関数の第9変奏に関する2次関係式の研究も行った。これは、Schur 多重ゼータ値に関してこれまで得られている多くの結果が、変数であるヤング盤の対角成分がすべて等しいという条件下で議論されており、この場合は Schur 関数の第9変奏の特殊化として実現できるという事実を踏まえてのものである。具体的には、Plucker 関係式など Jacobi-Trudi 公式を応用することで得られる公式をいくつか導き、その特殊化として Schur 多重ゼータ関数が満たす様々な2次関係式を得ることができた。以上は東京理科大学の武田渉氏との共同研究である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
和公式の研究についてだが、まずは投稿した論文が無事出版されたことは非常に大きい。また、多重ゼータ関数の研究において双対性は非常に重要な関係式であるため、角が1つの場合という限定的な形の場合ではあるにしろ、それに類する現象を確認できたことは、今後の研究においても大きな意味を持つと考えられる。一方で、Schur 関数の第9変奏の研究についてだが、これは Schur 多重ゼータ関数の関係式で、Schur 関数の第9変奏の関係式から直接的に導けるものを系統的に与えることができたと説明することもできる。そのため、この手法が確立すれば、Schur 多重ゼータ関数に対する既存の研究に対しても新たな視点を与えることができると考えられ、今後より見通しの良い議論ができるようになると期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
和公式については、まずは上に書いた数値実験のみで確認できている公式に対して証明を与えることを目標とする。そのためには、ある特別な半標準盤の数え上げ公式が必要になると考えられるが、それについては対応する母関数を研究することで導出を試みる。また、今回のようなある種の双対現象が他の形の場合の和公式でも見られないか考察する。例えば高い対称性を有する形の場合などを中心に、数値実験も活用しながら具体的な公式化を試みる。一方で Schur 関数の第9変奏に関する2次関係式の研究については、ある程度結果が出そろってきたので、論文にまとめて投稿する。また、応用として、得られた関係式を用いて変数であるヤング盤の対角成分がいずれも1,2,3などの特殊な場合に、Schur 多重ゼータ値の具体的な公式が導けないか考察する。
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Causes of Carryover |
昨年度は学内業務のため予定していた研究集会に参加できないことが何度かあり、そのため旅費として計上していた経費を使い切ることができなかった。次年度に繰り越した分については、関係する新たな研究集会への参加や共同研究者との現地での研究打ち合わなど、基本的には旅費として使用する予定である。また、昨年度後半にこれまで使用していた研究用のパソコンが壊れてしまったため、新規に購入する費用に充てたいとも考える。
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Research Products
(1 results)