2023 Fiscal Year Research-status Report
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21K03207
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
並川 健一 東京電機大学, システム デザイン 工学部, 准教授 (10757066)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 数論 / 保型表現論 / p進L関数 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までに, Rankin-Selberg L関数の周期積分の明示公式について研究してきた. 今年度も引き続き同様の主題を扱った. まず前年度までに得られていたGL(n)×GL(n-1)のRankin-Selberg L関数の臨界値の整性について, 論文に書き上げ投稿した. ここで用いていた手法と同様の方法で, GL(n)×GL(n)のRankin-Selberg L関数の臨界値の有理性について得ていたが, 今年度はそれに加えてGL(n)×GL(n)の周期のモチーフ論的解釈についても結果を得た. GL(n)×GL(n-1)の周期のモチーフ論的解釈と合わせると吉田による周期不変量の間に関係式を得ることが出来た. またGL(3)×GL(2)のp進L関数の構成を行った. これは本研究計画の序盤に行っていたGL(3)×GL(2)のRankin-Selberg L関数の臨界値の有理性の研究の続編に相当する. 以前の研究でGL(3)×GL(2)の周期積分について, 対応するコホモロジー解釈, Eichler-志村写像, コホモロジーの有理構造を明示的に書き下していた. この以前の研究に加えてHsieh-山名によるU(3)×U(2)のp進L関数の構成に現れる局所積分をこの記述により解釈することで, 構成を行った. とくにコホモロジーの有理構造の記述の応用として, 異なる臨界点での値の合同式 (Kummer-Manin合同式)も得られ, Coates-Perrin-Riouによるp進L関数の存在予想とも整合的な結果を得ることが出来た. この結果はJanuszewskiによるGL(n)×GL(n-1)のp進L関数の構成の, n=3の場合の精密化を与えている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
モチーフ論的背景の論文が出版されたこと, GL(n)×GL(n-1)の臨界値の整性の論文について投稿したこと, GL(3)×GL(2)のp進L関数についての結果が得られたことを考えると, 進捗状況としては「おおむね順調」とするのが妥当であると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究計画目的に挙げた成果が得られつつあるので, まずはすでに得られた結果を論文としてまとめていきたい. またGL(3)×GL(2)のp進L関数の構成は, 周期積分やコホモロジー類の明示的記述, 周期の解釈など, 当初の研究目的を達成するものである. この応用として, GL(3)×GL(2)のp進L関数の先頭項の研究や, p進L関数の分解公式など, p進L関数の典型的応用例について模索することは必須と考えている. 中でもGL(2)の三重積L関数が, 対称積表現と標準表現の積のL関数へ分解する現象が興味深い.
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Causes of Carryover |
2025年度には国際研究集会の主催を予定している. これは科研費申請時から予定しており, そのための費用として次年度, またその次の年度分の使用計画として申請済みのものである. またこれに加えて2024年度も国際研究集会の主催を予定している. 次年度使用額は通常の研究活動に加え, これらの集会の開催費用として計画している.
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