2021 Fiscal Year Research-status Report
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21K03212
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Research Institution | Yamato University |
Principal Investigator |
川谷 康太郎 大和大学, 理工学部, 講師 (90622150)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 導来圏 / Bridgeland安定性条件 / 射の圏 / 半直交分解 |
Outline of Annual Research Achievements |
三角圏Dに対する良い増強の存在を仮定することで、Dとその射の圏Mor(D)には、射の始点と終点を対応させることで自然な二つの関手が定まる。これらの関手はBridgeland安定性条件の間に反変的に連続写像を導くことをこれまでに申請者は示している。この連続写像に関する自身の予想の一つであった, 二つの写像の像が道でつながることを示した。証明の際に鍵は、安定性条件の明示的な変形である。Bridgelandの基本定理により、安定性条件の「台条件」が成り立てば、局所的な変形は存在することがわかっているが、台条件は一般に証明することが困難である。代数多様体の導来圏の様に幾何学的な状況では、台条件がBogomolov型の不等式から従うことがあるが、本研究では一般の三角圏を念頭に置いていたために、台条件の証明が非常に困難であった。このため、射の圏の安定性条件の変形の記述が困難であった。本研究では、射の圏Mor(D)がDとDによる半直交分解を持つことも用い、台条件を用いずに明示的な複素1次元族を構成することで、像の道連続性を証明した。この帰結として、自身が与えた1次元族の中に、一つでも台条件を満たす安定性条件が存在すれば、他の安定性条件についても台条件が成り立つことが分かる。通常とは異なる方針で台条件が従う点が興味深い。今後は、射の圏からより一般の半直交分解をもつ三角圏に対して、現在の手法の拡張を目指して研究する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
安定性条件の明示的な変形の構成が、想定していたよりも短時間で完成したため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、2021年度に行なった研究を詳しく解析することで、安定性条件の変形理論を記述するコホモロジー類を構成していきたい。そのために、現在の手法が適応可能な範囲を拡大することを目指す。拡大の方向としては次のケースが考えられる。
射の圏Mor(D)はDとD自身による半直交分解をもつ。本研究で行ったのはMor(D)の安定性条件の変形なので, Dと一般の圏の半直交分解を持つ三角圏を考察するのが良い。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染拡大が想像以上にひどく、出張予定であった日本数学会がオンラインに変更になるなど、対面開催の研究集会が減少したためである。次年度では、感染対策を踏まえた上で、対面開催される研究集会等に参加していきたい。
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