2023 Fiscal Year Research-status Report
Study of antipodal sets with its extension and application
Project/Area Number |
21K03218
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
田崎 博之 東京都立大学, 理学研究科, 客員研究員 (30179684)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 対称空間 / 対蹠集合 / 複素旗多様体 / 有向実Grassmann多様体 |
Outline of Annual Research Achievements |
コンパクト対称空間内の対蹠集合の解明に関する研究目的Iについては、昨年に続き非連結コンパクトLie群の極地を具体的に記述し、その中の極大対蹠集合の分類を進めている。コンパクト対称空間を定める対合的自己同型写像が外部自己同型の場合には、このコンパクト対称空間を連結コンパクトLie群の極地として実現できないが、非連結コンパクトLie群の極地として実現できる。この実現を利用するためその非連結コンパクトLie群の極大対蹠部分群の分類を実行し、その分類結果から極地として実現したコンパクト対称空間の極大対蹠集合の分類を導こうとしている。これらは、現在進展中であるが、古典型コンパクト対称空間の場合にはかなり完成に近づいてきている。これまでの分類結果から、連結とは限らないコンパクトLie群の間の被覆準同型写像の次数が奇数の場合には、被覆準同型写像を通して極大対蹠部分群は変化しないことが観察できるが、これが一般的に成り立つことがわかったので、その結果を10.研究発表の雑誌論文に掲載した論文で発表した。 複素旗多様体に拡張した対蹠集合の概念に基づいて、複素旗多様体内の二つの実形の交叉の対蹠性を解明するという研究目的IIについては、以前に行ったコンパクト型Hermite対称空間内の二つの実形の交叉に関する結果と同様な結果が得られ、その成果を論文にまとめる作業を続けている。 有向実Grassmann多様体の極大対蹠集合を解明するという研究目的IIIについては、階数5以上の有向実Grassmann多様体の極大対蹠集合の分類はまだ完成していないので、その分類に向けて組合せ論の概念との関連性を考慮しながら研究を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的Iについては、昨年に続きコンパクト対称空間を定める対合的自己同型写像が外部自己同型の場合に、極大対蹠集合の分類を進めていて、結果を論文にまとめる作業は完成に近づいている。また、コンパクトLie群の間の奇数次数の被覆準同型写像が極大対蹠部分群を変化させないことを論文にまとめて発表した。 研究目的IIについても、結果を論文にまとめる作業は完成に近づいている。 研究目的IIIにおいても非連結コンパクトLie群を利用する手法が有効であることが明らかになりつつあり、その方法で研究を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究目的Iに関しては、引き続きコンパクト対称空間を対合による半直積として構成できる非連結コンパクトLie群に極地として埋め込む手法を利用して、対合的外部自己同型写像が定めるコンパクト対称空間の極大対蹠集合の分類に関する研究を進める。コンパクトLie群の間の奇数次数の被覆準同型写像は極大対蹠部分群を変えないという現象が、コンパクト対称空間の間の奇数次数の被覆写像についても同様にあるのかどうか検証したい。具体例を観察した範囲では、奇数次数の被覆写像は極大対蹠集合を変えないようなので、この現象は一般的に成り立つことが期待できる。 研究目的IIに関しては、現在今までの成果と論文にまとめているところなので、これを完成させ、その後は複素旗多様体内の二つの実形を定める対合が可換でない場合に研究を進める。対合が可換の場合には対称三対の概念を利用して、二つの実形の交叉をWeyl群の軌道として具体的に記述できている。対合が可換ではない場合にも同様の記述が得られることが期待できる。 研究目的IIIに関しては、非連結コンパクトLie群の極地としての実現と極大対蹠部分群の関連性を明らかにし、これを有向実Grassmann多様体の極大対蹠集合の分類に利用したい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、2023年度前半までは研究集会出席や研究打合せのための出張はまったくできなかったため、旅費を使用する機会がなかった。2023年度後半から研究集会や学会に参加し、研究情報の交換や打合せを行えるようになった。その前の年度の研究費の繰越もあったため、2年度分の研究費をすべて使うにはいたらなかった。今後は当初の予定よりは多く研究集会や学会への参加を増やし、打合せや研究情報の交換の機会を増やしていきたい。
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Research Products
(8 results)