2022 Fiscal Year Research-status Report
Advances in Geometric Mechanics and Topology of Quantum Systems
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21K03223
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岩井 敏洋 京都大学, 情報学研究科, 名誉教授 (10021635)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | バルク・エッヂ対応 / スペクトル流 / 第2チャーン数 / 時間反転対称性 |
Outline of Annual Research Achievements |
バルク・エッヂ対応について研究を続けてきた。これまでの研究ではバルク状態を特徴づける位相不変量として主に第1チャーンを用いてきたが、今年度の研究では第2チャーン数のかかわるモデルを取り上げた。それは2つの2次元球面の直積空間(底空間と呼ぶ)上で定義され、エルミート行列の形に表される1パラメータのハミルトニアンである。これを半量子系ハミルトニアンと呼ぶ。このハミルトニアンの固有値に付随する固有空間をファイバーとする階数2のファイバーバンドルが底空間上に定義される。パラメータ変化に伴って固有値が縮退したときに、その前後でバンドルの第2チャーンャーン数が変化する様子を調べた。実際の計算は、曲率形式の積分を構造群 SU(2)への写像度(チャーン・サイモン形式)の計算に帰着させて行った。対応する量子系のハミルトニアンは、それぞれの2次元球面が3次元ポアッソン多様体のシンプレクティック部分多様体であると考えて、ポアッソン多様体の古典変数を角運動量作用素に置き換えることにより構成される。ハミルトニアンの回転対称性を利用して、エネルギー固有値問題を解くことができる。その結果エネルギーのバンド構造が解明できて、スペクトル流が求まる。スペクトル流は上述のチャーン数の変化に一致することが示される。つまり、バルク・エッヂ対応が成り立つ。さらに、チャーン数の変化やスペクトル流は"特異点"での作用素の線形化でも得られることを示した。つまり、線形化してもバルク・エッヂ対応が成り立つことが確認できる。 さらに、動的 Jahn-Teller 効果を持つ平面3原子分子についてや、時間反転対称性を持つ場合と持たない場合にバルク・エッヂ対応がどのように実現されるかについても研究した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
遅れているというのは研究そのものではなく、レフェリーとのやり取りである。昨年中に3編の論文を書いて投稿したのであるが、やっとそのうちの1編の論文についてコメントが返ってきた段階である。目下のところレフェリーコメントに従って修正を加えて再投稿の準備中である。実施計画に従って次の論文の作成に移りたいのであるが、レフェリーのコメントは本研究の位置づけや流れに関係するので、若干もどかしい状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
まだ論文とはしていないが、すでに得られている結果があるので、それを論文にしようかと考えている。当初は独立した興味で研究したものであるが、投稿中の論文を含めて研究全体の流れどのように位置づけるのがいいのか思案しているところである。レフェリーコメントを急かせる方策はないので、計画を変更することも已むをえないかもしれない。
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Causes of Carryover |
Covid-19 の影響が長引いていて、特に外国出張が不自由になって予算の執行が進まなかった。今年度は外国出張予算を執行しようと思っているが、不穏な世界情勢のため制限がかかるかもしれないことを危惧している。国内出張については、対面での研究集会が再開されているので、予算を大いに活用したいと思っている。
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Research Products
(2 results)