2021 Fiscal Year Research-status Report
Study of existence and non-existence of invariant Einstein metrics on compact homogenous spaces
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21K03224
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
坂根 由昌 大阪大学, その他部局等, 名誉教授 (00089872)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 不変なアインシュタイン計量 / コンパクト等質空間 / リッチテンソル / 一般化された旗多様体 / コンパクト単純リー群 / グレブナー基底 |
Outline of Annual Research Achievements |
コンパクト等質空間上の不変なアインシュタイン計量の存在・非存在について次の研究を行った。 1 非存在について、2005年にBohmは、不変なアインシュタイン計量の非存在の十分条件を得ている。 特に、 等質空間 SU(m+n1+・・・+np)/S(SO(m)U(1)xU(n1)x・・・xU(np)) において、 k=n1+・・・+np とおくとき、m > k ・ k + 2 ならば、不変なアインシュタイン計量が存在しないことを示した。Bohmはアインシュタイン計量の存在については、考察しなかったが、n1が m に比べて十分大きい時には、この等質空間に不変なアインシュタイン計量が存在するものがあること示した。さらに、Bohmの方法(リッチテンソルのtrace free 部分を調べること)により、SO(N)、Sp(N) のあるコンパクト等質空間上に、同様の結果が成り立つことが得られた。また、1997年にParkと研究代表者により構成した SO(N) のコンパクト等質空間の拡張に対して、不変なアインシュタイン計量の存在しないもの、または、存在するものがあることを示した。これらの結果をonlineで開催されたWorkshop on compact homogeneous Einstein manifoldsで講演した。 2 特殊ユニタリー群 SU(N) (N > 5) 上に、新しいnaturally reductiveでない左不変アインシュタイン計量が存在することを示した。2020年に、Arvanitoyeorgos、Statha と研究代表者により、等質空間 SU(k+m+n)/S(U(k)xU(m)xU(n)) を用いて、特殊ユニタリー群 SU(k+m+n) (k > 1, m > 1, n > 0)上にnaturally reductive でないAd(S(U(k)xU(m)xU(n))-不変なアインシュタイン計量が存在することを示したが、この結果を拡張し、コンパクトリー群 SU(m+ k(p-1))上に不変なアインシュタイン計量の存在するものがあることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コンパクト等質空間上の不変なアインシュタイン計量の存在・非存在について、2008年に、DickinsonとKerrは、既約成分が2であるコンパクト等質空間に対して考察した。この中のいくつかに対して、既約成分が多くなるように拡張されたコンパクト等質空間に対して、Bohmの方法により不変なアインシュタイン計量の存在しないことを示した。また、1997年に、Parkと研究代表者により構成した SO(N) のコンパクト等質空間の拡張、すなわち、既約成分が多くなるように拡張したコンパクト等質空間上にも不変なアインシュタイン計量の存在しないものがあることを示した。この場合には、Bohmの方法を直接は適用できないが、方法を修正することにより非存在を示せた。 コンパクト単純リー群上のアインシュタイン計量については、特殊ユニタリー群 SU(N) (N > 5) 上に、新しいnaturally reductiveでない左不変アインシュタイン計量が存在することを示した。等質空間 SU(m+ k(p-1))/S(U(m)xU(k)x・・・xU(k)) (N=m+ k(p-1) >5)を用いて、m > (p-1) k-1, p>2, k>1 のとき、特殊ユニタリー群 SU(m+ k(p-1)))上に、新しい naturally reductiveでない左不変アインシュタイン計量が存在することを示した。
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Strategy for Future Research Activity |
D’AtriとZillerは、1979 年にコンパクトリー群G上の左不変なリーマン計量がいつ naturally reductiveとなるかを調べ、コンパクト単純リー群の場合にはこのような計量の特徴付けを与えた。さらに、コンパクトリー群G上には、naturally reductiveでない左不変アインシュタイン計量があるのかという問題を提出した。 Arvanitoyeorgosと森と研究代表者の共同研究、Chrysikosと研究代表者の共同研究により、多くのコンパクト単純リー群G上に naturally reductive でない左不変アインシュタイン計量が存在することを示し、D’AtriとZillerの問題の部分的解決を得た。2020年に、森の結果の拡張として、 ArvanitoyeorgosとStathaと研究代表者で、特殊ユニタリー群 SU(n) (n > 4) 上には、naturally reductiveでない左不変アインシュタイン計量が存在することを示した。この方法をさらに発展させて、他のコンパクト単純リー群G上に既約成分が多い場合にも新しいアインシュタイン計量が存在するかを研究する。 コンパクト等質空間上の不変なアインシュタイン計量の非存在については、2005年のBohmの方法以外には、一般的な十分条件は知られていない。コンパクト等質空間で、Bohmの方法や類似の方法では判定できないが、不変なアインシュタイン計量の存在しないコンパクト等質空間の例を構成することができたので、不変なアインシュタイン計量の非存在の他の十分条件が見つけられるかを考察する。また、これまでに得られた結果を論文にまとめ、論文誌に投稿する。
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Causes of Carryover |
学会等の発表や研究連絡に、旅費を使用する予定であったが、新型コロナウイルス感染症の影響で、国際研究集会での発表がonline方式になり、また結果を発表する予定であった研究集会が、中止になったため、旅費としての支出がゼロになったため次年度使用額が生じた。 学会等の研究集会および国際研究集会が、対面式で再開されれば、旅費として使用する予定である。
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