Project/Area Number |
21K03233
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
大城 佳奈子 上智大学, 理工学部, 准教授 (90609091)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | Dehn colors / minimum number of colors / 一般化された捩れアレキサンダー不変量 / 捩れアレキサンダー不変量 / カンドル / 絡み目 / Quandle / 結び目 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)本研究課題の「問い」として「絡み目に関わる様々な代数系において, それらから得られる絡み目不変量間の類似性, 相違性は何か.」というものが挙げられている. この問いに関して, 2021年度は, 結び目に関わる代数系の一つであるKTTQGに関係する「Minimum number of Dehn colors」についての研究を進め, それらの性質を, 結び目に関わる代表的な代数系であるカンドルに関する「Minimum number of Fox colors」の性質と比較した。具体的には, 一般位数のDehnタイプのKTTQGについて, 「Minimum number of Dehn colors」の下からの評価を与え, また, 結び目不変量「Minimum number of Dehn colors」で区別できる結び目の例を見つけた. 「Minimum number of Fox colors」については結び目不変量でありながら, 結び目を区別できる例は見つかっていないことに注意する. この研究は, 日本大学の松土恵理氏と, 上智大学の山岸凱司氏の協力のもと行った. (2)本研究課題の「問い」として「絡み目に関わる様々な代数系を用いた捩れアレキサンダー不変量(または別の既存絡み目不変量)の再定式化および正規化, 計算の単純化を与えることは可能か.」というものが挙げられている. この問いに関して2021年度も一般化された捩れアレキサンダー不変量の研究を進めた. 特に, 既知の捩れアレキサンダー不変量では区別されないが, 一般化されたもので区別される結び目の例を見つけ, 論文「Quandle twisted Alexanderinvariants」として纏めた. この研究は, 筑波大学の石井敦氏の協力のもと行った. (3) 上記の研究成果を国際会議等で発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では, 研究課題の核心をなす学術的「問い」を5つ挙げているが, その2つ「絡み目に関わる様々な代数系において, それらから得られる絡み目不変量間の類似性, 相違性は何か. 不変量としての強さにどのような関係があるか.」と「4:絡み目に関わる様々な代数系を用いた捩れアレキサンダー不変量(または別の既存絡み目不変量)の再定式化および正規化, 計算の単純化を与えることは可能か.」について, ある程度の進捗が見られた. 結び目不変量「Minimum number of Dehn colors」については, これまでに報告された研究成果は殆どない状態であり, 既存の「Minimum number of Fox colors」に比べて扱い辛いものと予想されていたが, 本研究で様々な性質が発見された. 特に, 「Minimum number of Fox colors」は結び目不変量でありながら, ある程度小さな位数(計算可能な範囲の)のカンドルに制限すると, 結び目を区別できないということが知られている. それに対して, 本研究では, 「Minimum number of Dehn colors」で区別できる結び目の例を発見した. Dehn coloringはFox coloring に対応するものとして知られているが, minimum number of colorsの性質は両者で引き継がれているのもではない, ということが言える. 一般化された捩れアレキサンダー不変量についても, これまでに知られていない例(既知の捩れアレキサンダー不変量では区別されないが, 一般化されたもので区別される結び目の例)を発見する等,新たな結果を幾つか与えた. また, これら成果を纏めた論文の国際学術誌への掲載が決定した.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の核心をなす学術的「問い」について, 引き続き解決策を探る. 問題1、2のKTTQG理論とシャドウバイカンドル理論の関連性については, 「シャドウバイカンドルをKTTQG理論に置き換えることが出来るか」. また, 「置き換えによる, シャドウバイカンドルコサイクル不変量の分類は可能か」について考える. 同様のことを他の代数系についても考えることで, 様々な代数系を整理したい. 問題3については, 先ず第1にminimum number of Dehn/Fox colors について, 「Fox colorsでは区別できないが, Dehn colorsでは区別できるものがあるか?(90%解決済み)」, 「Dehn colorsでは区別できないが, Fox colorsでは区別できるものがあるか?(未解決)」について整理する, minimum number of colorsの判定法についても, 吟味したい. また, これらを結び目だけではなく, 曲面絡み目や仮想絡み目で見た場合についても考える. 第2に, 空間グラフにおけるDehn彩色と, Goeritz不変量(またはAlexander不変量)の関係性について考察したい. 空間グラフにおけるDehn彩色については, 頂点条件を変えることで, 様々に定義されているが, その中でも最も普遍的なものについて考察する. 最も普遍的なものについては, 空間の位相構造から直接得られる性質を持っていると考えられ, 空間の位相構造から計算可能なGoeritz不変量やAlexander不変量との関連性が重要になるはずである. 問題4,5については, カンドルで一般化された捩れアレキサンダー不変量について, 引き続き研究を行う. アレキサンダー不変量のなるべく単純化された正規化についても考え, 具体的計算例を多く与えたい.
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Causes of Carryover |
2021年度にノートPCを購入したが, 予定していたものがメーカーの都合で購入できず, 別のPCに急遽変更した. その差額分が繰越金として残った. 「次年度使用額(B-A)」の34,354円については, Illustrator等のPCソフトを購入し, 論文執筆や資料作成等に使用する予定である.
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