2021 Fiscal Year Research-status Report
Studies in gauge theoretic deformation invariants and their generating functions
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21K03246
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田中 祐二 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 博士研究員 (00647993)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ゲージ理論 / 仮想基本類 / 壁越え公式 |
Outline of Annual Research Achievements |
ゲージ理論的不変量の研究においてはその生成関数を考えることでその理論の背後にあるより興味深い構造を見出すことができることがある.例えば,Vafa-Witten不変量の理論ではその生成関数は保型形式となることが予想されている.このように個々の不変量だけではなくそれら全体が持つ構造に興味がある場合にはより広いで範囲で不変量を定式化することが必要となる.
一般の4次元多様体に対するDonaldson不変量の理論においてそれは例えば爆発公式を通してなされる.また爆発公式はDonaldson不変量の生成関数の構造や壁越え公式などを明らかにする際にも本質的な役割を果たしてきた.これに関連して,Stanford 大学のNikolas Kuhn 氏と共同で我々は射影曲面上の安定層のモジュライ空間の仮想基本類に対して中島-吉岡型の爆発公式を証明した.さらに,これを用いて望月拓郎氏による射影曲面上で仮想基本類を用いて定義されるDonaldson 不変量が従来の解析的に定義されるそれと我々の仮定の下では一致することを示した.この爆発公式の曲面上の種々の数え上げ不変量の理論への応用に関する研究も進めた.
また,Oxford 大学のDominic Joyce 氏およびJacob Gross 氏との共同研究である箙の表現のモジュライ空間の基本類が安定性条件を変えたとき最近Joyce 氏によって構成されたモジュライ空間のホモロジー上の頂点代数を用いて記述できるという研究成果およびゲージ理論,代数幾何学,幾何学的表現論等に現れる種々の「数え上げ不変量」に対する同種の壁超え公式もこの頂点代数を用いて記述できるであろうという予想を記述した論文の改訂作業を進め,改訂版をarXivで公表するとともに専門誌に投稿した.この研究は厳密な意味で半安定な対象を含む場合の数え上げ不変量の新しい定式化を与えるものでもある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述のKuhn氏との共同研究をまとめた論文をarXiv上で公開することができた.また様々な研究打合せを通して今後の研究の進展に有益な多くのフィードバックを得ることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度では, 曲面上の変形不変量の代数幾何学的研究をさらに進める予定である.いずれも国内外の関連する研究者と議論を重ね進めていく予定である.
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Causes of Carryover |
予定していた出張および物品購入を中止したため残額が生じた.
研究機関の訪問および学会等へ参加を通して行う研究発表・研究打ち合わせ・情報収集のための旅費また書籍等の物品購入に使用する.
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Research Products
(2 results)