2021 Fiscal Year Research-status Report
擬アノソフ周期軌道の複雑度に基づく組みひも群と写像類群の研究
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21K03247
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
金 英子 大阪大学, 全学教育推進機構, 教授 (80378554)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 平面N体問題 / 周期解 / 組ひも群 / 擬アノソフ / 金属比 / 拡大率 / エントロピー |
Outline of Annual Research Achievements |
平面のn点周期運動を考える. もしも点同士が互いに衝突しない運動であれば, n点の軌跡を考えることによってn 本の組ひもが定まる. このようにして得られる組ひも(実際は組ひも型)を用いると, 平面N体問題の周期解を分類することができる. 一般に組ひもは 3つのタイプ (周期的, 可約, 擬アノソフ)に分類される. 組ひもが擬アノソフの場合, 拡大率が定まり, これは組ひもの複雑さを表す不変量となる. 拡大率は bi-Perron 数とよばれる代数的整数である.
全ての組ひも型は平面多体問題の周期軌道で実現できるか? これは R. Montgomery の問題だがあまり研究が進んでいない. どのような擬アノソフ拡大率が平面N体問題の擬アノソフ型の周期軌道で実現できるか? という問は関連する問題として挙げられる. Chenciner-Montgomery による平面3体問題の8の字解から得られる組ひもは擬アノソフであり, その拡大率は黄金比 (1番目の金属比)で表せる. 今年度は, 2006年に柴山允瑠 氏によって証明された2n体問題の周期軌道の族の組ひも型について詳細に調べた. 具体的には, 柴山氏が発見した平面2n体問題の周期軌道から定まる組ひも型は擬アノソフであり, さらにその拡大率は金属比の冪乗として表せることを示した. 本研究は梶原唯加 氏 (京都大学) ・柴山允瑠 氏 (京都大学) と共同で行なった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」で述べた研究のプレプリント[梶原-金-柴山]はすでに完成させ, 現在, 投稿中である.
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Strategy for Future Research Activity |
Chenciner-Montgomeryによる8の字形の解の発見後, C. Simo, 柴山, Chen, Yu らによって平面N体問題における多様な``舞踏解" (質量が等しいN体が, 平面上のある閉曲線上を互いに追跡しながら運動する解のこと. 8の字解は舞踏解の一つの例)が次々に発見された. 今後の本研究では, 舞踏解について, その組ひも型, 擬アノソフの拡大率, 3次元多様体論の視点から考察する. 「全ての組ひも型は平面多体問題の周期軌道で実現できるか?」という Montgomery が提起した問題を念頭におき「どのような擬アノソフ型のN次の組ひもが, 平面N体問題の周期解として実現できるのか?」という課題に取り組みたい.
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため, 国際研究集会に参加するための海外出張ができなかった. さらに国内の対面での研究打ち合わせがほとんど実現できなかった. 次年度に繰越になった研究費は, 国内旅費, 海外旅費に充てる.
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Research Products
(5 results)