2023 Fiscal Year Research-status Report
Complex geometric structures and their moduli on Lie groups and homogeneous spaces
Project/Area Number |
21K03248
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
長谷川 敬三 大阪大学, 大学院理学研究科, 招へい教授 (00208480)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 竜司 大阪大学, 大学院理学研究科, 教授 (30252571)
入江 博 茨城大学, 理工学研究科(理学野), 准教授 (30385489)
長谷川 和志 金沢大学, 学校教育系, 教授 (50349825)
糟谷 久矢 大阪大学, 大学院理学研究科, 准教授 (80712611)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ユニモジュラー・リー群 / 佐々木構造 / Vaisman構造 / CR構造 / カルタン接続 |
Outline of Annual Research Achievements |
Vicente Cortes との共著「Unimodular Sasaki and Vaisman Lie groups」Math.Z. (2023)において,単連結ユニモ ジュラーVaismanおよび佐々木リー 群の完全な分類が得られた。すなわち,対応するリー環の言葉で述べると,改変 (Modification) を除いて「ユニモジュ ラーVaismanリー環はR x sl(2, R), R x su(2), R x hのいずれか」に分類され,「ユニモジュラー佐々木リー環はsl(2, R), su(2), hのいずれか」 に分類される。こ こでhはハイゼンベルグ・リー環であ る。さらに,これらのリー環上の不変な複素構造を決定した。佐々木構造は強擬凸CR構造で正規条件(normality)を満たすものとして捉えることができる。この研究成果に基づき本研究課題のひとつとして挙げていた目標「カルタン接続に関して局所平坦な単連結非退化CRリー群の決定」を糟谷久矢 (研究分担者)との共同研究として解決することができた。より具体的には,そのようなCRリー群は,上記の結果と同じ様に,「改変 (Modification) を除いてsl(2, R), su(2), hのいずれか」に分類される。さらに,これらのリー環上の不変なCR構造を決定した。これらのCR構造は上記の佐々木構造を特別な場合として含む。一方,(局所平坦とは限らない)単連結非退化CR冪零リー群は,強擬凸の場合はハイゼンベルグ・リー群であり,一般に非退化の場合は擬ケーラー冪零リー群のRによるリー環の拡張として得られたものに限る,ことを示した。これらの研究成果は「Cartan Flat Non-degenerate CR Lie Groups」(arXiv: 2404.03318)として投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に述べた様に,「ユニモジュラー佐々木リー環は,改変 (Modification) を除いて,sl(2, R), su(2), hのいずれかである(ここでhはハイゼンベルグ・リー環)」が成り立つ。佐々木構造は強擬凸CR構造でいわゆる正規条件 (normality)を満たすものとして捉えることができますが、これらの佐々木リー環は,CR構造に関するカルタン接続に関して局所平坦な非退化CRリー環としても捉えることができます。一方,su(2)上には正規条件を満たさない局所平坦な非退化CR構造も入り,これらのCR構造は複素アファイン空間C^2の超曲面として(局所的にも)CR埋め込みできない例として良く知られています。この様に,リー群上のCR構造として,不変な局所平坦非退化CR構造に限っても複雑な状況になっていることは注目すべきことで,本研究課題にて新たな研究上の視点が得られ,今後の研究にも繋がるものです。 一般の非退化CRリー環の分類に関しては,3次元の場合は既にカルタンによって得られていますが,5次元以上では,佐々木リー環の分類も未解決です。研究実績の概要に述べた様に,非退化CR冪零リー群に関しては,強擬凸の場合はハイゼンベルグ・リー群に限ること,一般の場合に対しては構造定理を示すことができました。可解リー群の場合への拡張等の問題は今後の研究課題になります。
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Strategy for Future Research Activity |
前回の報告書にて,今後の取り組むべき課題として挙げた,1. 予想「カルタン接続に関して局所平坦な単連結非退化CRリー群は対応するリー環が sl(2), su(2), hのいずれかの場合に限る」の解決,は上記の形で解決することができた。今後の課題として,引き続き,2. 単連結ユニモジュラー非退化CRリー群(より一般に等質空間)の分類問題の解決,3. 冪零 Lie 群上の不 変な複素構造は複素アファイン空間に双正則同型である,4. 冪零 Lie 群上の不変な複素構造の変形はまた不変 であり,したがって複素アファイン空間に双正 則同型である,を挙げたい。
研究活動の一環として,第7回国際研究集会「Complex Geometry and Lie Groups」を2023年5月にレッチェ (イタリア)にて開催した。第8回は,2025年3月10日-14日の日程で大阪にて開催の予定です。
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Causes of Carryover |
国際研究集会「複素幾何学とLie群」2025年3月10日-14日,大阪,の開催費用に当てるため。
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