2021 Fiscal Year Research-status Report
Research on symmetry, stability and moduli in theory of harmonic maps and submanifolds
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21K03252
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
大仁田 義裕 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 教授 (90183764)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 信 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 准教授 (10243354)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 微分幾何学 / 調和写像論 / 部分多様体論 / 対称空間 / 等径部分多様体 / ラグランジュ部分多様体 / 可積分系 / リー理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の初年度である2021年度においても依然COVID-19禍の影響は続き,海外研究者招聘や海外出張による研究交流は取り止め,本研究課題の研究推進において重要な2020年度から2021年度へ延期されたRIMS訪問滞在型研究「微分幾何と可積分系‐対称性と安定性・モジュライの数理‐」および日本数学会季期研究所(MSJ-SI2020) 「微分幾何と可積分系」は,対面とオンライン(Zoom)によるハイブリッド形式で実施した。 標準球面内の等径超曲面のガウス像として得られる複素2次超曲面のコンパクト極小ラグランジュ部分多様体に関する入江博,宮岡礼子,Hui Maとの国際共同研究は,COVID-19禍の影響により海外渡航や海外招聘が不可能なため,Zoomによる定期的な共同研究を開始し,等径超曲面のガウス像の幾何・トポロジーを解明すべく,特に基本群の決定やホモロジー群の計算,OT-FKM型等径超曲面のガウス像の幾何学的構造に関して議論・情報交換を行い,地道に理解を深めている。 前研究課題において,R空間の微分幾何的特徴づけに基づく,複素射影空間内の第2基本形式が平行な複素部分多様体の分類定理の別証明を与えた研究で構成された標準接続は,一般の佐々木多様体のr=-1/2奥村接続であることを発見し,韓国とのセミナーのプロシーディングスに論文発表した。さらに,四元数射影空間の全複素部分多様体に関するJong Taek Cho,橋本要との国際共同研究もR空間や等径部分多様体の理論の観点から研究を進めている。 研究分担者・加藤信は,安藤直也,濱田航平,橋本要との共同研究において,3次元ミンコフスキー空間内の混合型および非混合型ゼロ平均曲率曲面に対するエンドの解析を深化させて,エンドの正則性に関する新たな成果を挙げ,日本数学会ジャーナルに論文出版(早期公開 Feb.2022)している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度においても依然COVID-19禍の影響は続き,本研究課題における海外研究者招聘や海外出張による研究交流も取り止め,RIMS訪問滞在型研究「微分幾何と可積分系‐対称性と安定性・モジュライの数理‐」および日本数学会季期研究所(MSJ-SI2020)「微分幾何と可積分系」は,対面とオンライン(Zoom)によるハイブリッド形式で,海外研究者招聘なしで当初計画より相当規模縮小となったが,COVID-19禍の中にあって最善の開催が出来たと考えている。とくに,MSJ-SI「微分幾何と可積分系」は,第1弾として2022年3月第1~3週(Seminar,School,International Conference)で実施,International Conferenceは,望月拓郎教授の講演(オンライン)に始まりNigel Hitchin先生の講演(オンライン)で締める大変印象的なイベントとなった。 四元数射影空間の全複素部分多様体に関するJ.-T.Cho,橋本要との国際共同研究もR空間や等径部分多様体の理論の観点から遠隔(e-mail)により研究をゆっくりではあるが地道に進めており,J.-T.Cho教授の示唆により,複素射影空間内の第2基本形式が平行な複素部分多様体の分類定理の別証明のために構成した標準接続が,一般の佐々木多様体のr=-1/2奥村接続であることが判明するなど研究進展している。 また,対面による共同研究が困難な中,等径超曲面のガウス像の幾何・トポロジーに関する入江博,宮岡礼子,Hui Maとの共同研究も遠隔(Zoom,e-mail等)により継続しており,2022年度の研究進展が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
COVID-19禍の状況を見ながら,本研究課題推進のための海外研究者招聘や海外出張による研究交流・共同研究を遂行していく。2022年度へ展開されるMSJ-SI「微分幾何と可積分系」のプロジェクトを通じて,本研究課題の調和写像と可積分系理論の研究を推進する。とくに,Higgs束と関連モジュライ空間の理論の観点から対称空間への調和写像論を研究する。標準球面内の等径超曲面のガウス像に関する入江,宮岡,Maとの国際共同研究は,2021年度における共同研究の積み上げを踏まえ,等径超曲面のガウス像の代数トポロジーや幾何学的構造,とくに,OT-FKM型等径超曲面の場合の一層の検討に取り組んで行く。有限次元および無限次元等径部分多様体研究に関しては,若手研究者・森本真弘(大阪公立大学数学研究所特任助教)と可分ヒルベルト空間内の弱鏡映極小部分多様体の構造解明の問題に焦点を当てて研究する。また,Cho,橋本との国際共同研究は,四元数射影空間の全複素部分多様体から得られる奇数次元複素射影空間の極小ラグランジュ部分多様体の構造・性質の研究へと進める。
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Causes of Carryover |
COVID-19禍の影響により,本研究課題推進のための国内・海外からの研究者招聘や海外出張による研究交流・共同研究を遂行することが出来なかったため,次年度(2022年度)使用額が生じた。これは,実施できなかった計画を2022年度に遂行するために使用する予定である。とくに,本研究課題推進に関わって重要な企画である日本数学会季期研究所(MSJ-SI2020)「微分幾何と可積分系」は,2022年3月に第1弾として海外研究者招聘なしで当初計画より相当規模縮小したが,COVID-19禍による影響を見ながら,実施できなかった計画を2022年度に第2弾,第3弾として実施する予定であり,そのための経費(旅費・講演謝金等)として使用する。
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