2021 Fiscal Year Research-status Report
双曲絡み目のパラボリック表現とねじれアレキサンダー多項式に関する研究
Project/Area Number |
21K03253
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
森藤 孝之 慶應義塾大学, 経済学部(日吉), 教授 (90334466)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 双曲絡み目 / パラボリック表現 / ねじれアレキサンダー多項式 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、双曲絡み目のパラボリック表現に付随したねじれアレキサンダー多項式の基本的性質を明らかにし、そこから得られる代数的性質を用いて、絡み目の幾何学的性質を特徴づける枠組みを与えることである。より具体的には、以下の2点を明らかにすることが目標となる: (1) 双曲絡み目のパラボリック表現に付随したねじれアレキサンダー多項式の明示公式、 (2) 得られた多項式の性質と、双曲絡み目のファイバー性やサーストンノルムとの関係。 この研究目標に対して今年度は、8の字結び目のパラボリック表現を含む既約表現の1-パラメータ族(Mangum-Shanahan表現)を、高次元表現空間(Heusner -Munoz-PortiのSL(3,C)-指標多様体)のなかで具体的に記述し、その基本的性質を明らかにした。より正確には、SL(3,C)-指標多様体の座標系を用いて、Mangum-Shanahan表現が定める代数曲線の定義方程式を与え、その射影完備化、ならびに、特異点をブローアップにより解消した滑らかな射影的モデルを記述した。さらに、この射影的モデル上の正則関数として、8の字結び目のねじれアレキサンダー多項式の明示公式を導出した。これにより、8の字結び目の持つ対称性を上手く反映しているSL(3,C)-表現と、そうではない表現の関係が明確となり、今後の研究推進に向けて、良い指針を与えるものと捉えている。 一方、本研究計画の遂行にあたり、専門的知識を得るための貴重な機会と捉えていた「トポロジーセミナー」を、COVID-19の長期的な影響により、開催することができなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19の影響により、今年度全般に渡って研究計画を変更せざるを得なかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究計画2年目となる令和4年度は、昨年度得られた研究成果を基にして、「研究実績の概要」欄で述べた研究目標のうち、(1)をより広範な絡み目のクラスに対して考察するのと同時に、(1)と(2)の橋渡しに関わる部分についての考察を行う。また、COVID-19の影響が見通せない状況ではあるが、可能な範囲で国内外の研究者との研究交流を進め、本研究課題へのフィードバックを与えることを目標とする。
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Causes of Carryover |
COVID-19の影響により、開催を予定していたトポロジーセミナーの中止を余儀なくされた。また、参加を予定していた多くの研究集会が中止、もしくは、オンライン開催となったため、謝金、旅費等の支出が当初計画よりも大幅に少なくなったため次年度使用額が生じた。 次年度は、トポロジーセミナーを定期的に開催して専門的知識の提供を受けるとともに、COVID-19の感染状況を見ながら、可能な限り国内外の研究集会に参加して最新の研究動向を調査し、本研究計画を推進させる。
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Research Products
(2 results)