2021 Fiscal Year Research-status Report
Research of chart moves by using computer effectively
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21K03255
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
志摩 亜希子 東海大学, 理学部, 教授 (50317765)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 曲面結び目 / 曲面絡み目 / チャート |
Outline of Annual Research Achievements |
3次元空間の中の閉じた紐を上から光を当てると平面の上に影が出来る。その影だけを見ながら紐の絡まりを研究するのが結び目理論である。この研究は,次元を上げて,4次元空間の中の曲面(曲面結び目)を3次元空間に写し,影を見ながら研究を行なう。この影は,交わりのある曲面で,2枚や3枚の曲面が交わっている。交わった部分だけを見ると,曲線が現れる。鎌田氏より,曲面結び目をいい形に変形した後、その曲線を更に平面に射影して,平面上で曲面結び目を描くことが可能になった(chartという)。この研究は, 曲面結び目の分類のために,chart の分類表を作成することを目的とする。手法は,コンピュータで効率よく不変量を計算し,その中から候補を見つけ,理論的に証明する。 4-chart で丁度 crossing が2個のものは、具体的な chart の形を以前求めていた。その中でも black vertex が8個である 4-chart で、そのchart が表す曲面絡み目の成分数が2であるものをコンピュータで調べた。coloring を計算したところ、簡単な quandle(quandle の元の数が3のもの)を使って、これらの chart が表す曲面絡み目が自明な曲面絡み目でないという予想が得られた。実際に、手を使って計算して、これらの chart が表す曲面絡み目が自明な曲面絡み目でないことが示された。 また別の quandle 達を使うと、これらの曲面絡み目が互いに異なるものであるらしいと予想が得られた。このquandle は元の個数が n であり、その元たちを 1,2,3,..., n と表すと、i*j=i (i が n でない)というほぼ単純な演算をもつ quandle である。まだ証明をしていないが、次年度はこの予想の証明を行い、更にリボン型でないことも示したいと思う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
crossing の数が2個、black vertex の数が8個である 4-chart は成分数が1か2で曲面絡み目を表す。コンピュータの計算結果の一部から、上手く予想が得られて、その予想に基にして、実際にこの曲面絡み目で2成分ならば、自明な曲面絡み目でないことを示すことが出来た。まだコンピュータで計算した結果で使っていない部分があるので、別の異なる予想も立てられそうであり、概ね順調に研究が進んでいると考えている。 コロナ過であるため、対面による研究集会が開かれなかったことが計画を立てたときと異なった点である。得られた研究結果を広く人に知らせることが出来なかったことが少し悔やまれる。次年度は、対面の研究集会が増え、他者の研究者との交流が活発に出来る事を期待する。
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Strategy for Future Research Activity |
4-chart のcrossing が2個のものについては、引き続き研究を進め、互いに異なる曲面絡み目を表すかどうかや、リボン型でないことを証明していきたい。そのためにもコンピュータの今のプログラムは、quandle の coloring の個数を計算するものであるが、quandle cocycle invariant を計算できるようにプログラムを改良したい。 またコンピュータを使わない方向での研究も進めたい。計画の通り、crossing が3個のチャートについて大まかな形を決定することを目標にする。crossing が2個のチャートについて大まかな形を決定することは先行研究で証明した。この手法は crossing が3個のチャートについても応用が可能であると考える。しかし、もっと複雑なチャート変形を研究する必要があると思われる。
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Causes of Carryover |
コロナ過であるため、去年は研究集会に参加するための出張費が何も使われなかったことが原因であり、当初の予定より予算を使う機会が大幅に減ってしまった。2022度は、去年に比べるとハイブリッド型の研究集会も増えており、後半では研究集会に出張する機会も増えると期待している。また不変量の研究のために、計算をコンピュータにより並行処理できるように何台か購入する予定である。
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Research Products
(1 results)