2021 Fiscal Year Research-status Report
Construction of a generalized quantization of Poisson manifolds and its extension to infinite dimensions
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21K03258
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
佐古 彰史 東京理科大学, 理学部第二部数学科, 教授 (00424200)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 憲明 立命館大学, 理工学部, 授業担当講師 (00399073)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 非可換幾何 / 量子化 / 場の量子論 / ポアソン代数 |
Outline of Annual Research Achievements |
量子化の無限次元への拡張と,量子化の統一的な扱いをする取り組みを進めている.無限次元の自由度の量子化すなわち場の量子論の定式化としては,非可換空間上のスカラー場の理論を行列模型としてとりくむ扱いを行っている,特に非自明な相互作用が3次の相互作用であるΦ3乗行列模型を主に研究している.これは,行列の自由度を無限大にとる極限に関しては以前にGrosse氏とWulkenhaar氏との共同研究でシュインガ―ダイソン方程式を厳密に解くことで,全てのn点関数の厳密解を得ることに成功した.実のところシュインガ―ダイソン方程式は有限自由度の方が複雑でその厳密解は得られていなかった.これについて,鹿俣氏とともに再度挑戦したところ,完全に解くことに成功した.まだ内容は公にしていないが近日中にプレプリントを出す予定である.次に,統一的な量子化の扱いに関して,以前には一つのポアソン代数に着目し,あらゆる量子化を統一的に扱う方法について考察を行い,圏論的に構成しることができた.それにより,変形量子化や行列正則化など様々な量子化を一つの方法であつかうことに成功し,量子化を統一的に扱うことが可能になったが,量子化の逆問題を考える時,困難さを伴う.つまり,多様なポアソン代数を量子化して同じ代数が得られる現象が知られていて,従って古典極限を求める際に様々なポアソン代数が現れる空間を作る必要があった.一つのポアソン代数に対する量子化を検討しただけでは,不十分であらゆるポアソン代数を量子化を統一的に扱う必要があるということだ.今回はこの問題を解決した.この成果も未発表であるが近日投稿予定である. また,関連し運営としてかかわっている研究会「ポアソン幾何とその周辺」と「「離散的手法による場と時空のダイナミクス」を開催した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概要に書いた通り,研究計画書の1年次の目標が,少なくとも計算の範囲では終わっている,論文の執筆に時間を要している段階であるが,それは大きな問題にはならない.また,当初の計画では当初の予定ではポアソン代数の量子化を統一的に記述する理論の構成については,自由生成の方法でという記述をしていたが,そこは実際の構成を行っている際に,変化した.また,:Grosse-Wulkenhaar模型に対するアプローチは当初の計画では23年度以降に行う予定であった.しかし,上述の通り現在までにすでに有限自由度の場合の厳密解が求まるという非常に大きな成果がでていることから見ても,十分に順調に進展していると考えられる.ただし,当初の計画ではYang等のSW写像の新解釈としてのゲージ重力対応の一般化を行うという計画が代わりに21年度に入っていたが,こちらは今のところは進んでいない.上述の行列模型で成果が出始めているので当面はそれを優先するべきと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
進捗の理由のところにも記述した通り,行列模型の進展があったため,本研究を加速することを最優先とすることにする.そのためには,Grosse-Wulkenhaar模型の創始者であるGrosse-Wulkenhaarの両名との共同研究を進めるのがもっともよいと考えている.実際のところ両名と共同研究のスタート計画を現在すすめており,具体的には2023年4月12日から同年9月1日までの予定で,ウィーン大学に長期出張を計画し現地での共同研究を進める予定である.現在はZoomなどで共同研究を行う場合も多いが,ヨーロッパとの時差の問題が大きく,長時間議論するのは難しいという問題や,やはり同じ黒板を共有しての議論がしにくいという問題がある.ヨーロッパとの遠隔での共同研究は,日本で大学での通常業務をこなしながら実施するのはあまりにも負担が大きく,綿密な議論を行う場合には非常に難しい.その解消のための現地での連続で4か月以上の滞在をともなう共同研究である.また,その滞在では詳細な詰めの議論まで進まないことも想定されるので,追加で合計で2か月程度の出張も含めて計画している.ただ,基盤Cの予算では滞在費が不足することもあり,国際共同研究強化(A)への応募なども視野に入れ資金面の問題を解決するつもりである.
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響で予定していた当該研究施設での研究会が次年度に延期になった.所属大学自体が,他研究施設所属の研究者を多数呼ぶことを禁じていたため,実施することが不可能であった.2つの研究会に関してはオンライン実施による他大学での実施と,中止による1年延期となった.これらは2つとも22年度に本学で開催する予定である. 加えて,海外出張に関しても禁止されていたため,ウィーンでの共同研究の計画も1年間延期になり,23年度から実施する予定になったため,その準備のための渡航費などが先送りになっている.これらは22年度に2件の研究会の開催と,23年度に計画しているのウィーン大に滞在しての長期共同計画で使用される予定である.
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Research Products
(9 results)