2022 Fiscal Year Research-status Report
Construction of a generalized quantization of Poisson manifolds and its extension to infinite dimensions
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21K03258
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
佐古 彰史 東京理科大学, 理学部第二部数学科, 教授 (00424200)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 憲明 立命館大学, 理工学部, 授業担当講師 (00399073)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ポアソン幾何 / 量子化 / 場の量子論 / シンプレクティック幾何 / ケーラー多様体 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度ははじめに場の量子論的なアプローチに進展があった。ユークリッド空間をポアソン多様体として考えたとき、その自然な量子化で得られる非可換多様体であるモヤル空間上上で場の量子論を考えると、いわゆるUV/IR混合問題で繰り込みが阻まれる問題があるがそれをスカラー場の理論でクリアした理論としてGrosse-Wulkenhaar模型がある。この理論は行列模型としても表現でき、その行列模型を有限サイズのままで解く試みが成功した。無限サイズの極限での解は従来求められていたが、今回より複雑な有限サイズで解いたことが新しい進展であった。この結果は、NUCLEAR PHYSICS Bに掲載され、本科研費を用いて開催した研究会「離散的手法による場と時空のダイナミクス2022」、日本数学界2022秋期分科会等でも発表された。次に、ポアソン代数全体の量子化に関する進展についても述べる。ポアソン代数の量子化全体の構造として、量子化された空間を代数の部分集合としての加群ととらえ、ポアソン代数と併せて一つの圏構造で記述されることを示した。また、行列正則化の逆問題への応用も試みられ、作用汎関数から出発して、この圏の中に量子化の列を与える理論を構築した。ここで扱われている量子化は多くの量子化を含んでおり、さらに場の量子論への拡張も視野に入っている。この結果もNUCLEAR PHYSICS Bに掲載され、また本科研費課題を用いて開催した研究会「Poisson幾何とその周辺 22」などで発表された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まずポアソン多様体の量子化全体の統一的な枠組の構成について、予定通り21年度に概ね完成し、22年度に論文の掲載、各種学会研究会への発表もできたことで、順調に進んでいる。ベレジン量子化に関して22年度に研究する計画に関しても、むしろ問題なく消化された。場の量子論、特にGrosse-Wulkenhaar模型に関する進展は、当初のSeiberg-Witten対応を考慮した一般化の部分での方向性については、まだ研究が進んでいるわけではないが、その一方で可積分性、可解性の方面からの進展が予想外に得られていて、当初の計画以上の成果が得られている。また、コロナ禍で停滞していたウィーン大学のGrosse氏やミュンスター大学のWulkenhaar氏との共同研究が、シュレディンガー研究所(ウィーン大)で23年度に行えることも決定しており、順調に研究が進んでいる。また、本研究課題の予算を用いて開催を計画していた研究会もコロナ禍のもとでも無事開催することができたことも大きい。
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Strategy for Future Research Activity |
23年度はまず4月から8月末まで、ウィーン大学(シュレディンガー研究所)に滞在し、ウィーン大学のGrosse氏やミュンスター大学のWulkenhaar氏との共同研究を行うことになっている。この間に、非可換空間上の場の量子論であるGrosse-Wulkenhaar模型の特にこの模型の意味でのΦ4行列模型の可解性について解明していく予定である。また、その期間だけでは共同研究が終わるわけではないので、24年度にかけてもそれは継続される見込みである。また、23-24年度中に、ケーラー多様体の変形量子化に関しても、特にグラスマン多様体の変形量子化について研究を進める予定である。さらに、ポアソン代数全体の量子化について考察している過程で登場した、新しいリー代数の量子化の方法についても23-25年度中に研究を進める。これらの研究は23年9月以降、日本に戻った後に共同研究者の博士課程の学生と実施する。また研究会「Poisson幾何とその周辺」を本研究課題の科研費を用いて開催し、情報収集を進め、研究推進に役立てる予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響で国際共同研究のスタートが後ろにシフトし、共同研究でウィーンに滞在する時期が22年度後半からの予定から23年度4月からの予定に変更されたため次年度使用額が発生した。23年度4月12日~8月31日の約5ヶ月間の長期出張を予定しているため、往復の航空券に30万円程度、滞在費等で120万円程度消費する予定であり、次年度使用額と23年度支給額の合計が23年度中に概ね消費される計画となっている。
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Research Products
(14 results)