2022 Fiscal Year Research-status Report
Geometric analysis of convolution operators on symmetric spaces and its applications to integral geometry and inverse problems
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21K03264
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
筧 知之 筑波大学, 数理物質系, 教授 (70231248)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 合成積作用素 / 波動方程式 / 対称空間 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在まで対称空間上の合成積作用素が満たす諸性質を幾何解析的に研究しているが、2022年度は波動方程式への応用について研究を行った。波動方程式に関してはコーシー問題としての研究がほとんどであり、それ以外の枠組みでの研究は少ない。本研究では、幾つかの時刻でデータを与え、そのデータを満たす波動方程式の解が存在するか?という問題を扱った。以下、この問題をコーシー問題と区別するためにスナップショット問題と呼ぶことにする。また、各時刻で与えるデータをスナップショットデータと呼ぶことにする。得られた結果は、大雑把に言って、以下の通りである。ユークリッド空間および非コンパクト対称空間上の波動方程式については、スナップショットデータを2つ与える場合では解を決定することは出来ない。時刻T=0, T=a, T=bの3つの時刻でスナップショットデータを与える場合、比a/bが無理数の場合は解の一意性が成立する。一方、スナップショットデータがある両立条件を満たし、かつ,比a/bがある数論的条件を満たすとき、かつ、その時に限り、解が存在する。勿論、それだけではなく、波動方程式の解とスナップショットデータの間の詳しい関係も解明した。更に、コンパクト対称空間上のスナップショット問題も考察し、こちらについても詳しい結果を得た。方法としては、エーレンプレイスによる合成積作用素の理論と我々の研究グループが開発した対称空間上の合成積作用素の結果を組み合わせて行う。以上は、ゴンザレス氏、クリステンセン氏、ワン氏との共同研究によるものであり、共著論文を執筆中である。なお、スナップショット問題に関する先行結果は実質的に存在しない、即ち、我々の研究がスナップショット問題に関する初めての結果であることを注意しておく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の微分方程式への重要な応用を得ることが出来、しかも、論文をまとめる段階まで達することが出来たため。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、3人の外国人研究者と共同研究を行っている。方法としては、定期的にZOOMなどを用いて研究討論を行い、共通のサーバー上で論文を執筆する、というものである。このやり方を続行し、今後は、微分方程式への応用、および、積分幾何への応用について取り組むつもりである。
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Causes of Carryover |
所属研究機関(筑波大学)での業務が多く、参加を予定していた研究集会すべてに出張することが出来なかった。今年度はなるべく多くの研究集会に出席し、かつ、研究成果を発表するつもりである。
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Research Products
(1 results)