2022 Fiscal Year Research-status Report
Exact WKB analysis for differential equations satisfied by oscillatory integrals
Project/Area Number |
21K03300
|
Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
廣瀬 三平 芝浦工業大学, デザイン工学部, 准教授 (20743230)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | 完全WKB解析 / 微分方程式 / 振動積分 / Borel総和法 / Stokes集合 / 高次留数形式 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)ADE型特異点を持つ多項式の普遍変形である多項式を相函数とする振動積分の満たす微分方程式のWKB解はStokes集合以外の点においてBorel総和可能であるという結果が2021年度に得られていたが、2022年度はこの結果を原点に孤立臨界点を持つ重み付き斉次多項式を適切に変形した多項式を相函数とする場合に一般化することができた。さらに、証明における議論から、このWKB解のresurgence性についても明らかになった。 2)(1,4)型の2変数超幾何系などのような相函数に対数函数を含む振動積分の満たす微分方程式のWKB解のBorel総和可能性について考察を行った。1)の証明の方針で同様の結果を得るためには微分方程式だけでなく、差分方程式を合わせて考えることが重要であることが明らかになった。 3)以上の結果の証明より、振動積分は(適切に正規化した)WKB解のBorel和と一致することが明らかになる。一方、原始形式の理論で用いられている高次留数形式は、振動積分を用いた表示が与えられている。振動積分とWKB解の対応を考えることにより、高次留数形式のWKB解を用いた表示を得ることができた。さらに、振動積分を解に持つとは限らない微分方程式にも高次留数形式の類似物を定義することができた。 4)完全WKB解析において重要な対象であるStokes集合を主題とした著書の執筆を進めた。このことに関連して微分方程式の周期とStokes集合の退化についての考察を行った。特に二重変わり点から得られる周期の場合について調べた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目標である「振動積分の満たす微分方程式のWKB解のBorel総和可能性をStokes集合で記述する」を原点に孤立臨界点を持つ重み付き斉次多項式を適切に変形した多項式を相函数とする振動積分の場合に示すことができ、2021年度の結果を一般化することができた。さらに、WKB解と高次留数形式の関係の考察を行うことができた。このことより「おおむね順調に進展している」と判断できる。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでは原点に孤立臨界点を持つ重み付き斉次多項式を適切に変形した多項式を相函数として考えていたが、この性質を満たさない多項式について研究を行う予定である。また、相函数に対数函数を含む場合は差分方程式を考えることが重要であったので、差分方程式に対する完全WKB解析についても考察を行う。さらに、微分方程式に対して定まる高次留数形式の類似物の性質を調べる予定である。
|
Causes of Carryover |
研究集会をオンライン参加にしたために出張が不要になり、次年度使用額が生じた。次年度使用額については、対面での出張に用いる予定である。
|