2021 Fiscal Year Research-status Report
Mathematical structure of vacuum boundaries of gaseous stars and atmosphere under the gravitation and rotation
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21K03311
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
牧野 哲 山口大学, その他部局等, 名誉教授 (00131376)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 気体星の内部構造 / 惑星大気の構造と運動 / 回転星 / Euler-Poisson方程式 / 惑星波動の安定性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、気体星の内部構造の流体力学的研究および惑星の大気の運動方程式の研究において、重力により生じる真空境界の構造と回転による効果に着目してその力学の数学的に厳密な取り扱いを確立することであった。 そのため初年度令和3(2021)年度は固体の球体の外部において気体が中心球の重力下で運動する場合の研究に着手した。さしあたり、気体の自己重力は捨象すると、一様回転する定常解は初等函数で明示的に記述できることがわかったので、これを背景にした摂動の運動の解析を試みた。ところが、この最も単純な問題でも容易には結果が得られないことがわかった。同様の状況設定で、球対称平衡解からの球対称摂動については、Nash-Moser理論を援用することにより、一筋縄ではいかないとはいえ、解析ができているが、この回転運動の解析は多くの困難があり、出来合いの解析手段の安易な適用では済まないことがあきらかになった。 一方、部分的な結果を得るため、気象学においてのロスビー波、惑星波動の順圧ないし傾圧安定性、偏西風、ジェット気流、大気大循環などについて蓄積されてきた膨大な研究結果に着目し、そこから球の外部で回転定常解を背景にして相対的に小さな運動をする理想気体の運動方程式の解の数学的構造についての知見を引き出せないか探っている。すなわち、それら気象学での解析結果の数学的に厳密な読み替え、気象学において前提される近似の数学的正当化の試みを遂行した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
惑星大気の運動について一様回転定常解を背景とする摂動の解析から着手したが、すぐには完全な結果が得られないということは想定内であった。一方、従来の気象学における大気の大規模および小規模運動についての解析研究結果の数学的に厳密な読み替え作業は着実に進行しつつある。査読付き論文に纏めて発表する材料はまだないが、研究は潜行して進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
惑星大気の運動について一様回転定常解を背景とする摂動の解析において、さしあたり何が数学的に厳密な証明ができるか、何が未解決でどこに理論的困難があるのかをいったん纏めて発表し、学界に問題提起する。そのことにより、未解決問題、予想命題をひとつひとつ攻略することを推進する。そのためにも、感染症の終息を待って、国内・国外の応用数学研究者との対面的な交流を再開しておおいに之を行い、以て問題解決の糸口を探ることとする。
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Causes of Carryover |
感染症のため令和3(2021)年度は旅費の使用ができなかったので、令和4(2022)年度に感染症の流行終息を待って国際研究集会への参加2件により2年分の旅費を使用したい。
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Research Products
(3 results)