2022 Fiscal Year Research-status Report
Studies on stability of solitary waves for nonlinear dispersive wave equations
Project/Area Number |
21K03315
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
太田 雅人 東京理科大学, 理学部第一部数学科, 教授 (00291394)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 非線形シュレディンガー方程式 / 非線形分散波動方程式 / 孤立波 / 安定性 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の目的は、非線形シュレディンガー方程式や非線形クライン・ゴルドン方程式など非線形分散波動方程式の孤立波解の安定性に関する研究を推進することで ある。特に、パラメータによって孤立波解の安定性と不安定性が変わる臨界的な状況を考察し、非線形分散波動方程式の孤立波解のまわりの解の大域挙動の解明を目指している。 2022年度は2021年度に引き続き、空間1次元において引力的なデルタ関数ポテンシャルと5次の非線形相互作用および斥力的な3次の非線形相互作用をもつ非線形シュレディンガー方 程式の定在波解の安定性について考察した。空間1次元において5次の非線形項は質量 (L^2) の意味で臨界的である。劣臨界的な摂動項である引力的なデルタ関数ポテンシャルと斥力的な3次の非線形項を導入することにより、この臨界的状況は壊れるが、両者が釣り合ったとき、別の新たな臨界的状況が生じる。 質量 (L^2ノルム) が臨界質量よりも真に小さい場合、考察している方程式の定在波解はすべて安定であると予想されるが、このことを中西賢次教授(京都大学数理解析研究所)との共同研究により、簡潔な変分的方法を用いた統一的な証明を与え、論文にまとめた。 また、質量 (L^2ノルム) が臨界質量よりも真に大きい場合は、考察している方程式の定在波解はすべて不安定であると予想されるが、これまでは振動数がある値よりも大きい場合に対してしかこのことを証明することができなかった。この問題に対しても、定在波の新しい変分的特徴付けを導入することにより、すべての振動数に対して不安定性を証明することができた。臨界質量をもつ定在波解の不安定性については今後の研究課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
臨界質量よりも小さい質量をもつ定在波解の安定性を統一的な観点から証明し、論文にまとめた。 また、臨界質量よりも大きい質量をもつ定在波解の不安定性についても一般的に証明することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は本研究課題の最終年度となる。2021年度及び2022年度に引き続き、空間1次元における引力的なデルタ関数ポテンシャルと5次の非線形相互作用および斥力的な3次の非線形相互作用をもつ非線形シュレディンガー方程 式の定在波解の安定性について研究を推進する。具体的には、臨界質量をもつ定在波解の不安定性に関して、まず、軌道不安定性を証明することを目標とし、その後、臨界質量よりも大きい質量をもつ定在波解も含めて、強い意味での不安定性について考察したいと考えている。 また、新型コロナウイルス感染症による行動規制が緩和されてきたため、これまで制限されてきた研究集会や勉強会の対面での実施や海外出張を行い、多くの研究者と意見交換をすることにより研究を推進したいと考えている。
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Causes of Carryover |
2021年度に引き続き、2022年度も新型コロナウイルス感染症の影響が残り、出張する機会が大幅に制限されたため、旅費の支出がかなり少なかった。2023年度は新型コロナウイルス感染症の対策が進み、国際的な人の移動が可能となると考えられるため、海外の研究者を招聘したり、海外で開催される国際会議に参加するため、ほぼ計画通りに旅費の支出があると考えている。
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