2021 Fiscal Year Research-status Report
差分方程式の概周期族解の存在とCOVID-19後遺症による機能性EDモデルの研究
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21K03318
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
濱谷 義弘 岡山理科大学, 基盤教育センター, 教授 (40228549)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 香織 岩手県立大学宮古短期大学部, その他部局等, 准教授 (10749922)
河野 敏行 岡山理科大学, 総合情報学部, 教授 (90309534)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | COVID-19 / 概周期族解 / 関数差分方程式 / 有界解の漸近挙動 / 関数微分方程式 / 機能性EDモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は無限の時間遅れを持つ線形差分方程式の概周期族解の存在定理をJ. Diff. Eq. and Appl. Vol.26, No.3, 328-352, 2020に表している。研究計画書の【1.研究目的、研究方法など】に関連する数理病理モデルとして、テストスロン分泌の時間遅れを持つ制御モデルの概周期族解の存在定理について、論文Y.Hamaya and K. Saito, Existence of AP_r almost periodic solutions of a feedback delay model for the control of testosterone secretionsを、論博研究指導している分担者(他大学教員)と専門誌に投稿中である。また、EDモデルの構築に技術的に必要な拡散項と時間の遅れ項(感染期間)を持つCOVID-19 のSIR感染症モデルを取り扱い、強最大値原理とリアプノフ汎関数を使った閾値定理について、K. Saito, T. Kohno and Y. Hamaya, Asymptotic behavior of delayed SIR epidemic models of COVID-19 with diffusion, Journal of Applied Mathematics and Computation (to appear) に表している。さらに、有限の時間遅れを持つCOVID-19 のSEIR拡散反応型偏微分方程式の閾値定理についてY.Hamaya and K. Saito, Global attractivity of a delayed SEIR epidemic model of COVID-19 with diffusionを、論博研究指導している分担者(他大学教員)と共に専門誌に投稿予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
やや遅れている理由は、コロナ禍の影響で海外の学会(ISDEA2020)が中止や参加できなかった(ISDEA2021)などの理由と、申請代表者が令和2年度まで継続的に研究を続けてきた、申請研究とは概周期(族)解の存在定理として関連があり、主に数理生態学の研究対象である、時間遅れを持つ関数差分方程式の概周期解の存在定理とその応用について、特にある種の無限の時間遅れを持つVolterraモデルの概周期解の存在定理について、完全決着を見るために当所の予定から半年以上オーバーしてしまい、令和3年10月まで食い込んでしまったことである。さらに、令和3年度までの仕事として、Strong maximum principle を使った有限の時間遅れを持つCOVID-19 のSIR拡散反応型偏微分方程式の閾値定理と(掲載予定)、無限の時間遅れを持つSEIR拡散反応型偏積分微分方程式の漸近安定の結果、より一般のSEIR拡散反応型偏微分方程式の漸近安定の結果を、それぞれ著名な数学専門雑誌に投稿準備中である。しかし、この間に行った研究は決して無駄ではなく、その証明の手法や、Strong maximum principleと Liapunove汎関数を見つける技術的テクニックは申請研究のEDモデルに十分応用できる。また、現在までの達成度の遅れは、申請計画の最終年度までに半分以上取り戻せると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
「現在までの進捗状況」で記したように、当初の申請計画から半年以上の遅れを生じたが、研究代表者はその間何もしなかった訳ではなく、時間の遅れを持つSIR拡散反応型偏分微分方程式の漸近安定の定理を構築し、専門誌に掲載可を得ている。さらに、男性生殖ホルモンの増殖に大いに関係しているテストステロン分泌の時間遅れを持つ制御モデルの漸近安定性と概周期族解の存在定理を取り扱った論文も投稿中である。この結果を足がかりにして、実際のED制御モデルの概周期解及び概周期族解の存在定理を構築し、シミュレーションを行う予定で、論文作成・投稿は遅くとも今年中に完成する予定である。また、今年度中には、上記ED制御モデルにCOVID-19 による影響項を加えた研究計画のモデルである差分(微分)ED方程式の概周期解及び概周期族解の存在定理を構築し投稿する予定である。さらに今年7月末のICDEA2022 of Franceにおいて、得られた結果を発表する予定である。以上のEDモデルで、申請研究内容のED現象を数学的に特徴付できれば、後は研究分担者3名による、コンピュータを用いてこのCOVID-19 による影響項を持つ時間遅れのED制御モデルをシミュレーションし、それを可視化して実際の症例結果と比較検討して、パラメータの調整等を行う必要がある。唯一の問題点は、最終年度計画に予定している実際のCOVID-19 の影響による正確なED症例結果をどれほど得られるか、必要性に応じて、専門外の医学的調査が可能かどうか不明な点である。上記調査等が不可能な場合には、データ提供で岡山の川崎医科大学などのこの分野の泌尿器科関連機関の協力を仰ぐ必要がある。
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Causes of Carryover |
物品費については、当初予定していたノートパソコンとCOVID-19関連 の洋書数冊を購入しなかったため次年度使用額が生じた。ただし2022年度でこれらの物品を購入する予定である。 旅費については、当初参加予定していた国際会議ISDEA2021がオンライン併用になったため、当初予算が残った。こちらも2022年度は、国内の研究分担者:齋藤香織准教授が岩手県立大学宮古短期大学部から明星大学経営学部に4月から移ったので、場所が東京である為、頻繁に研究打合せや共同セミナ等ができやすくなり、その旅費(東京出張)に充てる予定である。
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