2021 Fiscal Year Research-status Report
Study on Hamilton-Jacobi flows with initial data of various pathological functions
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21K03322
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
藤田 安啓 富山大学, 学術研究部理学系, 教授 (10209067)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | Hamilton--Jacobi flow / 初期値の至る所微分不可能性 / 逆問題 / 正則効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
今回の研究課題を始めるにあたって当初頭に抱いていた目的は大まかに言って2つあった。ひとつは Hamilton--Jacobi flow の挙動から初期値の至る所微分不可能性を導けるかどうかという逆問題である。もうひとつは、もしそれを導くことができるならば、考えている Hamiltonian をどこまで一般化できるかということであった。 まず最初の逆問題について解説する。これについては、Hamiltonian が運動エネルギーに対応するもっとも単純なときに肯定的に解くことができて、以下の論文の欄に示すように、既にオープンアクセスの論文として結果を見ることができるようになっている。この意味において、今年度は、研究成果として極めて重要な進歩を遂げられたといっても過言ではないと思う。 さらに、この論文では最初に取る閉区間 [0,1] の分割として、以前の論文で考えていた等分割のものだけでなく、より一般的な分割まで許容することができている。これにより、Hamilton--Jacobi 方程式の解としての Hamilton--Jacobi flow における正則効果はかなり「緩い」ことが示唆される。なぜなら、この正則効果が強ければ、初期値の至る所微分不可能性などの悪い性質も一気に解消されて、我々は Hamilton--Jacobi flow から初期値の至る所微分不可能性を見出すことなどできなくなるからである。このように、相当良い結果を導くことができて、この年度の研究は成功ということができると思う。 一方、Hamiltonian の一般化はうまく行っていない。この一般化が今後の課題である。また、今年度はコロナ禍のため、得られた結果をいずれの場においても発表することができなかった。次年度以降は、得られた結果を多くの場で発表して広報に努めたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
4年間の目標のひとつであった Hamilton--Jacobi flow の振る舞いから初期値の至る所微分不可能性を導くという逆問題を肯定的に解決することができたうえに、この結果が、以下に示すように既にオープンアクセスの論文として見ることができるようになったからである。 本研究開始当時は、この達成が4年間でできるかも自信がなかったが、それが研究開始1年目で肯定的に解けるとは大変な成功と言っても過言ではないと思う。今後は、Hamiltonian をどこまで一般化できるかなどの得られた結果の深化を図って行きたい。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は, 得られた成果を広く広報していきたいと思う。幸いにも, 今年の 6/25 には早稲田大学の応用解析セミナーにおいて招待講演を受けて講演をすることになっている。この講演のための準備を最大限に行い、図やアニメーションなどを作成して多くの方にすんなりと研究の意義を理解してもらえるように努めたい。この講演の結果が次回以降の講演において極めて重要な意義をもつものと考えており、今後の研究発表の型作りのためにも頑張りたい。 一方、今回の結果がより一般の Hamiltonian でも成立するか否かを考えていくことが今後の課題となる。これらを踏まえながら, より高い次元で良い成果を得られるように今後も不断の努力を惜しむことなく進んでいきたい。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で出張等ができず研究計画が達成できなかったことが最大の理由である。本年度は旅費として20万円を申請しているが、毎年それ以上を旅費に使うこともある。本年度は、出張が全くできず、これらを使うことができなかった。その分、研究に充てる時間が取れたのは良かったとは言い切れないが、悪かったとも言えない気がする。 次年度は、出張を多くして、情報を仕入れると同時に講演の機会も増やしたい。与えられた講演の機会は、講演を聞く方たちに深い理解と興味を持ってもらえるように頑張りたい。また、講演のための図やアニメーションなどの作成を研究協力者に頼むなどして講演の充実を図りたい。必要があれば分担者になってもらうなどして、図やアニメーションなどの作成のために研究費を使ってもらうことも考えていきたい。
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Research Products
(3 results)