2023 Fiscal Year Research-status Report
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21K03334
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
塩谷 真弘 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (30251028)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 数理論理学 / 公理的集合論 / 巨大基数 / 強制法 / 崩壊代数 / 無限組合せ論 / 飽和イデアル / 稠密イデアル |
Outline of Annual Research Achievements |
現代集合論の主要なテーマの一つに、巨大基数を強制法によって小さな基数に崩壊させて、巨大基数に類似した強力な組み合わせ論的性質を小さな基数において実現することが挙げられる。巨大基数に類似した組み合わせ論的性質として、イデアルの飽和性は古くから研究されてきた。 1980年代にForeman, Magidor, Shelahは、超コンパクト基数を$\omega_{2}$に崩壊させて$\omega_{1}$上に飽和イデアルが存在するモデルを構成する画期的アイデアを出して、その後の大発展を引き起こした。.Kanamoriによる巨大基数理論の標準的な教科書は、この発展を中心に据えて書かれている。Foreman, Magidor, Shelahに先立って、Kunenは1970年代に、膨大基数を$\omega_{1}$に崩壊させて$\omega_{1}$上に飽和イデアルが存在するモデルを構成した。Kunenの手法は非常に一般的で、$\omega_{1}$以外の後続基数への一般化やモデル理論におけるChang予想に適用することができる。Kunenの手法の応用例は、その第一人者Foremanによって集合論ハンドブックの1章としてまとめられている。Kunenの手法の深化とともに、モデルの構成法は加速度的に複雑になって行った。 筆者はかつてEaston崩壊を導入し、その2回反復で強い飽和イデアルを持つモデルを構成することに成功した。この成功の意義は案外大きく、例えば、連続する2つの後続基数上に飽和イデアルを乗せるためには、Easton崩壊を3回反復させるだけでよいことがわかる。これは、Kunenの手法にはない特長である。本研究ではこの手法を発展させることで、Kunenの手法で得られた諸結果の証明を簡易化し、その限界を突破する可能性を探っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Foremanによって、複数の正則基数上に飽和イデアルが同時に存在するモデルは知られていたが、その構成が非常に簡単になった. さらに, この手法を応用することによってEskewは、すべての後続基数上の非定常イデアルが同時に局所的に飽和するモデルを構成することに成功した.この結果は非常に画期的で、Journal of Mathematical Logicに掲載された.
本研究ではLaverによるモデルの構成を簡易化しているが, 同様の手法を用いて, Foreman--Laverによるモデルの構成を簡易化することに成功した. またEskewはWoodinの結果を一般化して正則基数の後続基数が飽和性より強い稠密性を持つイデアルのモデルを構成したが,両者の構成法には選択公理が成立しないモデルが含まれる.本研究において,そのような手法を用いない自然な構成を与えることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
Foremanは無限基数の3組に対するChang予想が成立するモデルをKunenの手法により構成したが,それは非常に複雑であった.したがって現在,4組に対するChang予想が成立するモデルをKunenの手法により構成することは絶望的な状況である.Eskew氏との共同研究により,3組に対するChang予想が成立するモデルを比較的容易に構成することができた.このアイデアを発展させることにより,4組に対するChang予想が成立するモデルを構成することを目指している.
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Causes of Carryover |
対面による研究集会が一時的に激減したことにより、旅費や謝金として使用する予定であった分が未使用となった。次年度は、旅費・謝金ともに活用する予定である。
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