2023 Fiscal Year Research-status Report
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21K03338
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
酒井 拓史 神戸大学, システム情報学研究科, 准教授 (70468239)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 反映原理 / 無限グラフ / 巨大基数 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は主に Rado Conjecture の高濃度への一般化が基数算術に及ぼす影響について研究をした.オリジナルの Rado Conjecture はグラフ彩色についてのアレフ2での反映原理で,2のアレフ0乗がアレフ2以下になることや,特異基数仮説を帰結することが知られていた.本研究で,Rado Conjecture のアレフn(n>2)への一般化が,どのような自然数 m に対しても,2のアレフm乗について何の帰結ももたらさないことと,特異基数仮説を導かないことが明らかになった.もう少し一般に,基数κの後続基数κ+への Rado Conjecture の一般化について,次の (1) と (2) が明らかになった. (1) κか共終数アレフ0の特異基数であるときは,2のアレフ0乗がκ+以下になることと,κより大きな特異基数における特異基数仮説を導くが,どのような不可算正則基数λに対しても,2のλ乗には何の帰結も持たない. (2) κが共終数アレフ0の特異基数でないときは,どのような正則基数λに対しても2のλ乗に何の帰結も持たず,またκより大きい基数での特異基数仮説も導かない. これらの研究成果については国内外の研究集会で発表し,また現在論文を執筆中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年度までに,定常性反映原理と Rado Conjecture の高濃度への一般化が基数算術に及ぼす影響をほぼ完全に明らかにすることができ,これらの結果は国内外の研究集会で発表している.また,定常性反映原理の一般化については論文を投稿して好意的なレポートが返ってきており,Rado Conjecture の一般化については現在論文を執筆中である.これらの成果については研究は順調に進んでいると言える. 一方で,Rado Conjecture 以外のグラフ彩色についての反映原理の無矛盾性や帰結については,当初の予定より研究が少し遅れている.
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は,Rado Conjecture 以外のグラフ彩色についての反映原理について集中して考察する.まず,グラフ彩色の反映原理を様々なグラフクラスに制限したものの無矛盾性とそれらの帰結について考察する.特に,半順序集合の比較不能グラフに制限した Galvin Conjecture の無矛盾性を最新の強制法の手法を用いて調べる.また,アレフ3の反映原理で,2のアレフ1乗に制限を与えるようなものを探る.
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Causes of Carryover |
2021年度と2022年度はコロナウィルス感染症の影響で,予想していたより対面での研究集会開催が少なく,予算使用計画の大部分を締める旅費の支出が少なかった.また,2023年度は中山大学(中国)の池上大祐准教授を訪問し研究打ち合わせをする予定を立てていたが,先方とのスケジュール調整がうまくいかず延期した.これらのために2024年度の使用額が生じた. 2024年度は中山大学の池上大祐氏の日本への招聘や,国内外の研究集会参加のための旅費として使用する計画である.
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Research Products
(2 results)