2023 Fiscal Year Research-status Report
ベクトル空間Wに生息するAPN関数f:V→Wの研究
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21K03343
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Research Institution | Yamato University |
Principal Investigator |
谷口 浩朗 大和大学, 教育学部, 教授 (60370037)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | APN関数 / D-property / 有限体上の関数 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は主に, F(x)+Tr(x)L(x)型であるが, 2次的とは限らないAPN関数を研究しさまざまの結果を得た。ここにF(x)はAPN関数,Tr(x)は素体へのTrace関数, L(x)は任意の関数とする。例えばF(x)=x^3とし,L(x)を適当な線形関数とすると,有限体GF(2^6)においてはすべての2次的なAPN関数はx^3+Tr(x)L(x)とあらわされるAPN関数に同値であることを確かめることができた(この結果について日本数学会年会で発表を行った)。また,F(x)を2次的なAPN関数でL(x)を線形関数とするとき,F(x)+Tr(x)L(x)がまた2次的なAPN関数であるためのL(x)が満たすべき必要十分条件を得ることができた。さらにF(x)=x^3で,L(x)が必ずしも線形でない関数とするとき,x^3+Tr(x)L(x)がAPN関数であるためにL(x)が満たすべき必要十分条件を得ることができた。また関数F(x)=x^3+Tr(x)xの場合に(つまりL(x)=xの場合に)3以上のnに対して有限体GF(2^n)上においてはF(x)はAPN関数にはなりえないことを確かめた。さらに有限体GF(2^n)上のAPN関数F(x)をn-2次元部分空間上で「ある特別な形」に変形した関数が,またAPN関数であるための必要十分条件を与え,その結果を用いてGF(2^8)上で具体的なAPN関数の例をいくつか構成できた。 それらに加えて「Edel-PottによるAPN関数のswitchingによる変形」にD-propertyの考えを適用することにより「4差分型(differentially 4-uniform)の関数」をswitchingでAPN関数にできることも見出した。現在これらの研究をさらに発展させ,論文にまとめようと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は主にF(x)+Tr(x)L(x)型のAPN関数について研究を進め多くの結果を得ることができた。その反面,APN関数の幾何学的な側面(semi-biplaneやCayley graph)の研究に時間を十分割くことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は今年度の研究(研究実績の欄を参照)を進展させることに加えて,APN関数の幾何学的な視点(semi-biplaneやCayley graph)からの研究を推進しようと考えている。とくにgraphの被覆(covering)とAPN関数のCCZ同値との関係を探求し,その結果を用いてD-propertyがCCZ同値で保たれるのかどうか,などを探求していきたい。
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Causes of Carryover |
現在共同研究が年度をまたいで進行しており,その研究成果が確定してから発表および論文を作成をする必要がある。次年度に研究成果の発表を行い,また論文投稿をする予定である。
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