2021 Fiscal Year Research-status Report
Kinetics on surface tension with junction
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21K03349
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
小俣 正朗 金沢大学, 数物科学系, 教授 (20214223)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
Ginder Elliott 明治大学, 総合数理学部, 専任准教授 (30648217)
菊地 光嗣 静岡大学, 工学部, 教授 (50195202)
SVADLENKA KAREL 京都大学, 理学研究科, 准教授 (60572188)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 自由境界問題 / 双曲型方程式 / 数値解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、泡や液滴などがそれ自身や障害物に接触する場合の動力学について、数理モデル構築と数学的手法の確立、数値解法の確立による現象の理解を目的としている。物理イメージとして、固体表面上の液滴、水中や水面上の泡、重なり合って動く泡の集合などを想定している。液滴の表面が障害物に接触する場所や泡の重なり合う場所をジャンクションと呼ぶことにする。この部分には強いエネルギーが集中しており、その動力学を解析するのが目標である。これらに対して変分法や偏微分方程式に基づいた数学的意味づけとシミュレーション技法(計算技術)を確立していくことを目標にしている。 現時点ではスカラー関数で表現できる問題に対して、クランクニコルソン型の時間差分空間微分型汎関数を導入した。この方法の特徴は、時間差分空間微分型汎関数のなかで、エネルギー保存が強く期待できる方法である。(線形の場合は、保存される。) また、液滴の体積保存など大域的制約条件がある場合についての解析も行いやすく、スカラーの自由境界問題で一定の成果を得た。これは双曲型離散勾配流法の新しい取り組みになり、第一段階の結果といえる。 特徴としては、線形の場合、差分の状態でもエネルギー保存則が保証されることである。このため従来の方法と比べて、双曲型方程式との親和性は良くなっている。 さらに細胞膜の位置取りなどにも応用が利くことが分かってきており、それらの論文発表と講演が行われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
変分最小化法によって様々な singular な問題が解かれてきた。しかし、一方で、kinetics を直接取り扱う双曲型への応用はあまり行われて来なかった。研究代表者は、セロテープを剥がす問題、剥離の数理、水面上の泡のダイナミックスなど双曲型自由境界問題と分類される諸問題をはじめて構築し、解法の研究を続けてきた。ある種の問題は、Lagrangian の最小化近似(離散勾配流)により解決可能であることが見え始めてきた。 これらは、エネルギーから見た変分法が有効であるが、時間差分空間微分型のクランクニコルソン型の汎関数を導入し、従来の取り扱いと同様の結果を得た。これらは、特に大域的情報とは相性が良い。このような数学的背景から、「大域(非局所構造)」、「エネルギーによる連成」に都合が良いと考えられている。
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Strategy for Future Research Activity |
表面張力などをリーディングフォースとする運動の解析について平均曲率流など放物型方程式に分類される問題はさかんに研究されてきた。一方、加速度を考慮した波動型(双曲型)の問題については非常に限られた研究がなされてきただけであり、膜や界面の動的接触について数学的に理解することが強く求められている。石鹸膜がジャンクションを持ちながら重なり合う問題の場合、申請者などが放物型マルチフェーズBMOアルゴリズムでジャンクションのつなぎ変わりを表現できることを示してきた。しかしながら、双曲型では、マルチフェーズBMOアルゴリズムについて、(1)平均曲率加速度流として定性的な動作確認しかできていないこと。(2)ジャンクションのエネルギー記述が困難であること。 と言う点において、手つかずの難問となっている。すなわち、スカラー的アプローチでは対象物内部の構造が全く扱えず、難問として立ちふさがっており、これらを解決する方向で研究を続けている。
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Causes of Carryover |
コロナ流行が長引いたため、旅費を使用する研究打ち合わせを行うことができなかった。このため、オンラインでの打ち合わせなどを用いたが、十分ではなかった。その分、次年度に繰り越すことができたことはありがたい。コロナの状況改善を期待している。 計画は出張分について、若干の先送りとした。
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Research Products
(4 results)