2023 Fiscal Year Annual Research Report
発展型偏微分方程式における高精度数値計算手法の構築
Project/Area Number |
21K03354
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
土屋 拓也 明治学院大学, 経済学部, 准教授 (50632139)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 誠 大阪大学, 大学院情報科学研究科, 教授 (70312634)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 発展型偏微分方程式 / Klein-Gordon方程式 / 構造保存型数値計算 / 完全流体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では発展型の偏微分方程式に対して、高精度数値計算を行うための手法を研究した。特に、重力場の方程式とカップリングして解く必要のあるエネルギー運動量テンソルから得られる発展方程式に対し、高精度な数値解を求める手法について調査した。扱ったものは曲がった時空中において、Klein-Gordon方程式と完全流体の方程式である。今回の研究では数値計算の高精度化が共に実現できた。一方で、解析的な方面からの調査を含め、数値解の検証までは実施できなかった。 Klein-Gordon方程式に対し、べき型の非線形項を加え、曲がった時空としてde Sitter時空を選んだ上で、Laplace演算子で表現される2階微分項の離散化方法の違い、質量項の大きさ、時空の膨張収縮の有無とその大きさ、非線形項の有無、初期値の大きさを変化させてその数値安定性にどのように影響を与えるかを調べた。Laplace演算子の離散化手法については、1階中心差分の合成で作る2階の差分表記は前進差分と後退差分の合成で作る2階の差分表記と比べて、数値安定性が悪いこと、数値振動を生じる可能性があることなどが得られた。また、収縮時空の場合には解の発散現象がみられ、爆発解をもつ可能性があることが判明した。なお、質量項の存在やその大きさ、初期値の大きさについての数値安定性への影響については確定した結果は得られず、現在に至り調査中である。 一方で、完全流体に関しては、重力場の方程式と実際にカップリングして数値計算を実施した。その際に、重力場の方程式に適用されていた高精度化の手法を完全流体の方程式に適用したところ、その数値解を高精度にすることができた。しかし、方程式の構造に対する不安定性が危惧されるなど、改善の余地を残す結果となっており今後の課題となっている。
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Research Products
(11 results)